ハネケは数年に1度でいい。 映画『ファニーゲーム』積みDVD鑑賞⑤
2024年11月30日
胸糞?!ナンボのもんじゃい!と思ってDVDを買ったものの、前に見た同ミヒャエル・ハネケ監督の映画『ハッピーエンド』(2017年)の底意地の悪さにすっかり怖気づき見る気が起きなかった『ファニーゲーム』。
ハネケの初期の作品であるこの映画は、カンヌ映画祭で上映時には、ヴィム・ヴェンダース監督がショックのあまりに途中退場した、という逸話もある。
どうするこのDVD。このままお蔵入りさせようかと思ったけれど、それもそれで気持ちが悪い。
映画『ファニーゲーム』(1997年)
とある夏、湖畔の別荘にバカンスを過ごすためにやって来た一家のもとに、一人の青年が訪ねてくる。「卵を分けてもらえませんか?」 やがてもう一人青年が現れ、一家は絶望のゲームを仕掛けられていく。
覚悟はしていたけれど、想像のはるか上だった。
シンプルなワンシチュエーション。ストーリー展開の少なさに対し、突然のデスメタル、肝心なところは見せないかと思えば、ある事後をロングショットの長回しで見せたり、メタ演出の多用(こっち見んなよ!)したり普通じゃないものを畳みかけてくる。
映画的、希望的予測がことごとく潰され、悪い予測しかできなくなる。でもその予測をも超えてくる。メタ演出によって「これは映画ですよ、映画なんですよ」と言われても、言われれば言われるほど、そう思えなくなる。もう、こっち見んなって!
一方的な被害者なのに後悔や罪悪感まで背負わせているところも怖い。いったいどうすりゃ良かったんだろ?救われるすべはあったのだろうか。
映画を見ているだけなのに、”胸糞”だけじゃ済まされない気持ちにさせられる。なんなんだろ、この気持ちは。
なんだかんだ言っても「人間が一番怖い」ってのはホント。その中でもミヒャエル・ハネケ、アンタはホントに怖いよ。
配信で『白いリボン』(2009年)も見ようかと思ったけれど、もう数年はハネケは無理。