映画『おいしい生活』(2000年)のザックリとしたあらすじと見どころ
映画『おいしい生活』は、
銀行強盗の隠れ蓑に始めたクッキー屋が大繁盛してしまった成金夫婦を描いたコメディ。ウディ・アレンらしい小ネタがスベリ倒す中、脇役エレイン・メイの名演が光る1本です。
キャスト
・ウディ・アレン(レイ)
銀行強盗 過去に失敗し服役
・トレイシー・ウルマン(フレンチー)
レイの妻 育ちが悪く教養もない
・エレイン・メイ(メイ)
フレンチーの従姉 ド天然
・ヒュー・グラント(デビッド)
美術商 フレンチーに頼まれ上流階級のマナーや教養をレクチャー
・マイケル・ラパポート(デビー)
泥棒仲間
映画『おいしい生活』の見どころと感想
結婚25年目を迎えたレイとフレンチー。
鬱屈した毎日のなか、レイは ”絶対にうまくいく” 銀行強盗を思いつきます。銀行の隣の空き店舗を借り、地下にトンネルを掘って金庫を破るー。このカモフラージュとしてフレンチーがクッキー屋を始めるというもの。
さっそくかつてのポンコツ仲間を加えこの計画を実行します。しかし、地下の穴掘りはうまくいかない。その一方で、フレンチーのクッキー屋は連日行列ができるほど大繁盛。手伝いに従姉のメイを雇うことにします。
レイたちが掘り進めた穴は銀行ではなく方角違いのブティックに行きついてしまい、そこにはクッキー屋の常連の警官が待ち受けていました。が、この警官が口封じの条件として持ちかけたのはクッキー屋の商売拡大とその利益享受でした。
フランチャイズ展開したクッキー屋は1年足らずで急成長を遂げ、レイとフレンチー夫婦はすっかり成金になっていたのですがー。
評)ウディ・アレンの王道コメディ 見どころはエレイン・メイ!
「理想を実現させても、物事は思った通りには進まない」 ウディ・アレンらしい皮肉を込めた王道コメディです。
銀行強盗を企てるが別の方法で大金を手にしてしまう夫婦は、このあと上流階級に溶け込めず夫婦間もギクシャクしてきます。
本物のセレブになろうと努力するフレンチーに対し、置いて行かれるような気持ちになるレイ。が、フレンチーの無教養っぷりはかなりのもので、ちょっとやそっと勉強したところでどうにもなりゃしない。早々にそれを見抜いた美術商のデヴィッドはフレンチーを単なる金づるにするだけ。
見ている側の「こうなるだろうな」を1ミリも裏切らない展開で物語は進んでいきます。その中で強烈なスパイスとなるのが、従姉のメイです。メイの想定外の行動が窮地を招き、奇跡を起こすー。終盤はもう、メイの独壇場です。
映画の邦題『おいしい生活』は、1980年代に糸井重里氏が手掛けた西武百貨店のコピー(ウディもイメージモデルに借りだされた)にかけたもので、邦題としては悪くないし、そのためかウディ・アレン映画のなかで知名度も人気も高い作品です。
が、ニューヨークでの制作の行き詰まり期に差しかかったこの映画は、正直緻密さに欠け、良くも悪くもウディ・アレン映画の魅力であるインテリ臭もない(から人気なのかもしれませんが)。なので、振り返ってあーだこーだと論じたくなる点も少ないのです。
見どころはエレイン・メイです。
1932年生まれ(現在87歳)、コメディエンヌとして数々の賞を得る一方、脚本家として『天国から来たチャンピオン』(1978年ウォーレン・ベイティ監督/脚本/主演)を手掛けた人物。
そんなメイさんを存分にお楽しみ下さい。