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晩秋の大人の余裕 映画『マンハッタン・ラプソディ』

2024年11月2日

秋が深まると(って、ぜんぜん深まってないんだけれど)見たくなるラブストーリー。枯葉が積もるの公園でー、って去年も同じこと書いてる。

これはそんなイメージにちょっと近い映画だった。

映画『マンハッタン・ラプソディ』(1997年)

恋愛経験のない女性と美女とセックス恐怖症の男性による大人のロマコメで、フランス映画『両面の鏡』(1953年)のリメイク。

美しい女性を見るとめまいに襲われてしまう大学の数学教授グレゴリー(ジェフ・ブリッジス)。同じ大学で働くローズ(バーブラ・ストライサンド)の地味な外見と生徒を虜にする人柄に惹かれて恋に落ち、グレゴリーが望むプラトニックな関係のまま結婚する。が、ローズは次第にそのことに不満を募らせー。

もうちょっと古い時代(80年代)の映画かと思ったら97年という微妙さ。当時って、こんなに類型的セクシー美女が崇められる時代だったっけ?

美しい母親によって容姿コンプレックスを植え付けられたローズ。
そのローズが母親に「美人ってどんな気分なの?みんなの視線を浴びるってどんな気持ち?」とたずねる。「良い気分よ」と答える母を演じるのは、自身がそんな視線を浴び続けてきたローレン・バコール。美しいけれどどこか冷めた表情が印象的なシーン。

ローレン・バコール(1924-2014)

バーブラ自身も容姿のことで嫌な思いをしただけに、この映画(主演・製作・監督)には並々ならぬ思いがあるのだろうけれど、そこを力を入れすぎることなくサラリと「どんな外見だろうが魅力的」を体現する大人の余裕よ。

一方、美女アレルギーによってセックスを忌避するグレゴリーのジェフ・ブリッジス。いまや渋ーくなってるジェフもこの当時はまだまださわやか。

◆この翌年に ”デュード” になるジェフ

◆渋カッコイイが最高潮に達したジェフ

◆渋さの向こう側に行ったジェフ

ロマコメらしくラストは路上キスシーン!めでたし、めでたし。
ただ、考えようによってはあのままグレゴリーを目覚めさせないほうが浮気の心配もなくて良かったかも、と思わなくはないけれど。

映画『マンハッタン・ラプソディ』 原題:The Mirror Has Two Face
1997年/126分/アメリカ
監督:バーブラ・ストライサンド
出演:バーブラ・ストライサンド、ジェフ・ブリッジス、ローレン・バコール、ミミ・ロジャースほか

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