映画『レッズ』(1981年)のザックリとしたあらすじと見どころ
映画『レッズ』は、
1917年のロシア革命とその革命を記録した実在のアメリカ人ジャーナリスト、ジョン・リードの半生を描いた映画です。
ウォーレン・ベイティが製作・監督・脚本・主演の4役を務め、巨額を投じ2年以上かけて撮影した渾身の作品。アカデミー賞では最優秀監督賞を受賞しています。
キャスト
・ウォーレン・ベイティ (ジョン・リード)
社会主義理念に傾倒していくジャーナリスト
・ダイアン・キートン (ルイーズ・ブライアント)
ジョンのパートナー 出会った当時は人妻
・ジャック・ニコルソン (ユージン・オニール)
ルイーズに思いを寄せる劇作家
・エドワード・ハーマン (マックス・イーストマン)
ジョンが寄稿する雑誌の編集者
・モーリン・ステイプルトン ( エマ・ゴールドマン)
女性活動家
映画『レッズ』の見どころと感想
第1次世界大戦のさなか、ヨーロッパでの国際労働者同盟の盛り上がりに影響を受けたジャーナリストのジョン・リード。アメリカがこの問題にどう関わるかを雑誌『民衆』で講じ、講演活動を行うジョンに、自らも女性解放問題に参加するルイーズは興味を持ちます。
2人はたちまち意気投合。互いの立場を尊重しあうという合意のもと、ニューヨークで同棲生活を始めます。その後マサチューセッツ州のプロヴィンスタウンに移り、論文を発表し続け、女性アナーキストのエマ・ゴールドマンや劇作家のユージンらと親交を深めていく2人。
やがてジョンはアメリカの共産主義団体「レッズ」に入党。反戦活動にのめり込むようになり、ルイーズを伴って革命勃発直後のロシアに渡ります。
ロシアで巻き起こる労働革命を肌で感じたジョンは、帰国後その体験記『世界をゆるがした十日間』を出版。アメリカ社会党の立て直しを目指すジョンですが、党は内紛により分裂。自身が率いる左派の公認を得るために単身で封鎖中のロシアに潜入しますが事態は難航します。
やむなく帰国を決意するジョン。が、帰途で反共のフィンランド当局に拘束。
ジョンの逮捕の知らせを受けたルイーズはフィンランドに密航しますが、ロシアに返還されたジョンとは行き違いとなりー。
評)革命下の大恋愛と辛辣な意見の対比の妙
ロシア革命という歴史上の大きな出来事を舞台にした3時間を超える超大作。
ロシア革命のその後を知る現代では、ジョンの活動に批判を加えて見てしまうのですが、この映画はそうした歴史がどうこうというよりも、ジョンとルイーズの恋愛、その大恋愛っぷりに圧倒されるのです。
プレイボーイと人妻だった2人は、互いの自由を尊重した関係を続けていましたが、途中ユージン(ジャック・ニコルソン)の横恋慕を機に結婚。が、穏やかな暮らしを望むことなく社会主義活動に傾倒していくジョンに対し、女性として、活動家として葛藤を抱えるルイーズ。これがホントに切ない。
この映画でもファッショナブルなダイアン・キートン。海辺の白服+麦わら帽も、ロシアでのニット帽も、頭巾までもオシャレ!さすが!
とはいえ、こうしてドップリ恋愛映画感覚で見ることを許さない演出も。映画には当事を知る人々のインタビューが挿入されており、ジョンやルイーズについて、当時の社会主義活動について、なかなか辛辣な意見が語られています。
映画が製作された1981年当時、米ソは中東を交えた冷戦の時代。ソビエトを批判的に描いているとはいえ、社会主義に希望を抱いていた人物を題材にした映画がアメリカで作られ、アカデミー賞12部門にノミネートされ(本命視されていた作品賞は『炎のランナー』に)たことも特筆すべきことでしょう。
けれども、私は『レッズ』は大恋愛映画として楽しみたい。