映画『未来よ、こんにちは』(2016年)のザックリとしたあらすじと見どころ
映画『未来よ、こんにちは』は、
子どもは独立し母は亡くなり夫は好きな人を作りー、予想外のおひとりさま生活に奮闘する哲学教師ナタリーを描いた作品です。
ミア・ハンセン=ラヴ監督の母をモデルにイザベル・ユペールに当て書きしたというこの映画。「女は40過ぎたら生ゴミよ」と言いつつ、からりと生きていくナタリーが思うままにならない人生の生き方を見せてくれる1本です。
キャスト
・イザベル・ユペール(ナタリー)
高校の哲学教師
・アンドレ・マルコン(ハインツ)
ナタリーの夫 同じく哲学教師
・ロマン・コリンカ(ファビアン)
ナタリーの元教え子
・エディット・スコブ(イヴェット)
離れて暮らすナタリーの母
映画『未来よ、こんにちは』の見どころと感想
パリの高校の哲学教師のナタリー。学内のストに動じることなく授業を続け、元教え子のファビアンの相談にのり、離れて暮らす認知症の母からのたびたびの呼び出しに応じ、さらに教科書の監修を行う多忙な日々を過ごしています。
そんなある日、夫ハインツが突如「好きな人ができた」と家を出てしまいます。そして認知症が悪化し施設に入所した母は死去。バタバタと葬儀を終えようやく一息ついたナタリーが偶然目にしたのは、恋人と楽しそうに街を歩く元夫の姿でした。
夫も母もいなくなり「おひとりさま」になったナタリー。教科書監修の仕事も刷新を目論む出版社と意見が対立し頓挫してしまいます。
仲間と一緒に田舎暮らしをするファビアンのもとを母の飼い猫を連れて訪ねることにしたナタリー。そこで自分の人生を見つめ直すことになりー。
評)人生は思い通りにはならない、そう思い始めるナタリー世代におすすめの1本
夫の「好きな人ができた」の告白に対し、ナタリーは「言わなきゃわからないのに」と切り返す。さほどショックを受けていないように思われるシーンです。が、忙殺される日々の中で突然おとずれた夫や母との別れは、淡々とやり過ごしていくように見えるナタリーの中にも自由と孤独の揺らぎを映し出していきます。ナタリーを演じるイザベル・ユペールがその揺らぎを見事に表現しています。
そのユペールに当て書きしただけあって細かな人物像がリアル。華奢で小柄でいつもムッとしてちょっと外股でせかせかと歩く。亡き母の愛猫を引き取るけれど実は猫アレルギー。扱いが不慣れな様子は可笑しみもある。イケメンの教え子ファビアンに対し恋心があるようなないようなー。
肩の荷が下り、ほどよく力も抜けた女性がただ前向きに生きていく姿を描いた映画『未来よ、こんにちは』。人生は思い通りにはならないー、そう思い始めるナタリー世代におすすめの1本です。
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