映画『パラダイスの夕暮れ』(1986年)のザックリとしたあらすじと見どころ
映画『パラダイスの夕暮れ』は、
フィンランドを舞台とした労働者階級の男女の恋愛ストーリーです。アキ・カウリスマキ監督初期の作品で、カウリスマキ作品の常連マッティ・ペロンパーとカティ・オウティネンが主演。
キャスト
・マッティ・ペロンパー(ニカンデル)
ゴミ収集車の運転手
・カティ・オウティネン(イロナ)
スーパーの店員
・サカリ・クオスマネン(メラルティン)
ニカンデルの同僚
映画『パラダイスの夕暮れ』の見どころと感想
ゴミ収集車の運転手のニカンデル。先輩運転手とともに独立を考えていましたがその先輩が心臓発作で急死。
失意のニカンデルは、スーパーを解雇された店員のイロナと出会い心を通わせていきます。
がー。
評)カウリスマキ監督が思いを込めて描く社会の底辺のラブストーリー
物語はカティ・オウティネン演じるイロナが解雇されたスーパーから腹いせに金庫を持ち出してしまったり、転職した衣料品店でイケてる店長に言い寄られたり、ちょっとした騒動はありますが、口数が少なく表情も乏しいイロナとニカンデルの2人によるじれったいばかりの恋模様。
マッティ・ペロンパー演じる「ダサいけどホッとできてクセになる男」ニカンデルは初デートでしがないビンゴホールに連れて行ってしまうし、気合を入れていったレストランもドレスコードで入店できないし、それもこれも浮かび上がることのできない労働者の苦境を物語っています。
同じく初期の映画『真夜中の虹』(1988年)と同様に、”上の世代が急死する”という始まり。まるで社会的困難を丸投げされたような、「どうすんのよ……」という思いに包まれます。
アキ・カウリスマキ監督はそんな社会を生きる労働者たちの悲哀を寡黙に情感をこめて描きます。独得の色味のある温かい世界。根底にあるユーモア。ムード歌謡のような音楽も欠かせません。日本びいきでも知られ、この映画ではSONY製品(ニカンデルが奮発して買うオーディオは”LIBERTYリバティ ”懐かしい!)も登場します。
カウリスマキ作品の手始めに、ぜひ。