何も起きない閉塞感の向こう側へ 映画『リバー・オブ・グラス』
2024年11月8日
映画『WANDA ワンダ』を見たあとレコメンドに上がってきたのがこれ。
ザックリいうと”主婦自分探し映画”。「今の自分は本当の自分じゃない、本当の自分を見つけるためー」って、ちょっとどうかしてるとしか思えない状態だけど、ま、主婦じゃなくとも、誰でも一度はそんなことを考えたりするものかもしれない。
◆主婦自分探し映画といえば、(注:酷評レビューです)
『リバー・オブ・グラス』はなんにも起きないし、どこにも行けない。「食べない、祈らない、恋もしない」どうにもならない鬱屈感に包まれている。なのに、鑑賞後の気分は『食べて、―』よりも格段に心地良い。この心地よさはナンだろう。私の性格の悪さゆえ?
南フロリダの郊外で暮らす主婦コージー。ある日どこかの裕福な夫婦が自分の子どもを引き取りに来てくれて、自分は新しい人生を歩む、という妄想に耽っている。が、現実はたまらないほどの孤独。世界に自分のような孤独な人間がいるだろうかと思っている。
そんなコージーはリバー・オブ・グラス(草の川)を渡りふらりと入ったバーで一人の男リーと出会う。リーもまた退屈な毎日にうんざりしている。2人は意気投合するがー。
30歳前後、モラトリアムなコージーとリー。生きあぐねているのは2人だけではない。コージーの父ライダーは刑事。犯罪者のペットを保護して、モルモットを洗ってあげる(このシーンのシュールさ!)ほど心優しい人なのに、酒飲みで銃をなくして停職中。
その銃を偶然手に入れたリー。その銃で偶発的に人を撃ってしまったコージーと逃避行するために盗みや強盗を企てるがことごとく失敗に終わる。2人の関係も愛とは呼べない。
決意的展開のあと、踏み出したコージーの眼の前に広がるのは高速道路の渋滞。コージーはこの後どうすんだろ?
何も起きない、起こせない現実はとても意地悪だけど、なぜだか慈愛に満ちているようにも思えた。
「インディーズの至宝」と称されるケリー・ライカート監督の長編デビュー作。16㎜フィルムの4:3の画面とざらついた感触が良い。
視聴はお初と思っていたら、映画『ナイト・スリーパーズ ダム爆破計画』(2013年)がライカート監督作品と知って「え、アレが?」のような、「なるほど、そうか」のような。思いのほか陰鬱だった覚えが。レビューも書いてないので、そういうことなんだろう。(直後の”X”の投稿はこんな感じ)