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「いつもの」ウディ・アレン  映画『ローマでアモーレ』 積みDVD鑑賞④

2024年11月23日

順調に積みDVDを消化中。消化といっても、見終わったDVDという”ブツ”が自分の部屋の本棚から書庫的な物置の本棚に移されるだけで、この家の荷物を減らす意味での「片付け」にはなっていない。

ということは気づかなかったことにしよう。そうしよう。

映画『ローマでアモーレ』(2012年)

好きな映画監督のひとりウディ・アレン。近年は私生活でのスキャンダルによってハリウッドを出禁になっているものの、もうすぐ89歳(1935年12月1日生まれ)になる今も新作映画を撮り続けている。*最新作は『Coup de chancel』(2023年/フランス) 日本では公開未定

ちょっと神経質な主人公とそのまわりの人たちが、恋愛や人間関係に翻弄される姿をオシャレに、ロマンチックに、ノスタルジックに、シニカルに描く。そんなウディ・アレン映画だけれど、正直なところ、近年(2010年以降)の作品にはそれほど魅了されない。

でもそれでいい。いやそれがいい。むしろそれを求めている。行きつけのバーで「いつもの」がスッと通じる、そんな微かに優越感の混じった安心感を得たいのだ。

ま、行きつけのバーなんてないけど。

◆5年前に書いたこちら 今読むといろいろとお粗末。一応リライト済み。

というわけで、わが家にもウディ・アレン積みDVDがいくつかあって『ローマでアモーレ』もその1本。妙に恥ずかしくなるタイトル。早く片付けてしまわねば。


(C)GRAVIER PRODUCTIONS,INC. photo by Philippe Antonello

ローマを舞台に繰り広げられる4つのストーリー。

30年ぶりにローマを訪れた建築家のジョン(アレック・ボールドウィン)が偶然若き建築家ジャック(ジェシー・アイゼンバーグ)と出会い、行動を共にしながらジャックの恋愛にアレコレと助言するがー。

近づいてくるジョンの変なショットから辻道でジョンとジャックと出会うシーンへ。そしてジョンはジャックの家に連れていかれ、恋人サリー(グレタ・ガーウィグ)を紹介され、さらにサリーの友人モニカ(エレン・ペイジ)が合流する。その後、消えたり登場したりするジョン。そう、これはジョンの回顧なのだ。しかも失恋の。「いつもの」ウディ・アレンだ。

4つのストーリーの中で、映画自体をリードするのはこの1編だと思った。

ほかの3編をザックリと。

(C)GRAVIER PRODUCTIONS,INC. photo by Philippe Antonello

どこにでもいる平凡なサラリーマンのレオポルド(ロベルト・ベニーニ)がある日突然、有名人になる。パパラッチに追い掛け回され何が何だかわからないレオポルドに向けられた「あなたは有名なことで有名な人なんです」という一言。

レオポルドのオタオタぶりがとにかく笑えるけれど、たぶんこれは、何をしてるのかよくわからないけれど有名な人(セレブ的な)の存在とか、自分もそうなりたい「インフルエンサーになりたい!」にいう風潮を皮肉っているんだと思う。「いつもの」ウディ・アレンだ。

(C)GRAVIER PRODUCTIONS,INC. photo by Philippe Antonello

新婚の夫婦がほんのわずか連絡が取れないうちに、夫はコールガール(ペネロペ・クルス、ド迫力!)と偽装夫婦となり、妻は有名俳優と不倫のような状態になる話。

アメリカ人オペラ演出家(ウディ・アレン)が娘の婚約者に会いにローマへ。そこで婚約者の父のシャワー中の歌声に魅了され、オペラに出演させようとするがー、というコメディ。

この2編のドタバタ具合も「いつもの」ウディ・アレンだ。


そして見終わったあとの、ほんのちょっとだけ幸せな気分。これも「いつもの」ウディ・アレン映画だ。

映画『ローマでアモーレ』 原題:To Rome with Love
2012年/101分/アメリカ・イタリア・スペイン合作
監督:ウディ・アレン
出演:アレック・ボールドウィン、ジェシー・アイゼンバーグ、エレン・ペイジ、ロベルト・ベニーニ、ペネロ・ペクルス、ジュディ・デイヴィス、ほか

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