映画『マーゴット・ウェディング』(2007年)のザックリとしたあらすじと見どころ
映画『マーゴット・ウェディング』は、
家族と疎遠になっている小説家と、その機能不全家族を描くヒューマンドラマです。
監督はノア・バームバック。”人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見れば喜劇だ”の逆をいくような不条理で滑稽な家族の物語です。
キャスト
・ニコール・キッドマン(マーゴット)
小説家 NY在住 夫とは別居中
・ジェニファー・ジェイソン・リー(ポーリン)
マーゴットの妹 バツイチ 生家で婚約者と暮らしている
・ゼイン・パイス(クロード)
マーゴットの息子
・ジャック・ブラック(マルコム)
ポーリンの婚約者
・ジョン・タトゥーロ(ジム)
マーゴットの夫
・キアラン・ハインズ(ディック・クーズマン)
マーゴットの仕事仲間、不倫相手
映画『マーゴット・ウェディング』の見どころと感想
NYに暮らす小説家のマーゴは妹の結婚を祝うために息子クロードを連れて十数年ぶりに実家を訪れます。長年不仲のマーゴの予期せぬ来訪に戸惑う妹ポーリン。
そんなポーリンの戸惑いをよそにマーゴはさっそく婚約者マルコムの仕事や人となりを批判し、結婚に賛成できないと言い始めます。
さらに実家は隣家とトラブルを抱えており、マーゴの行動が火に油を注ぐことに。
姉マーゴの登場で混乱し始める家族たち。結婚式の前日、マーゴの憶測からマルコムの浮気が露呈しー。
評)超近視眼的で閉鎖的がゆえの滑稽さ ”家族”ってそんなものかも
この姉妹の間に何があったのかはほどなく明らかになります。絶縁状態になったきっかけは、マーゴがポーリンの私生活を小説に書いたこと。それがもとでポーリンの一度目の結婚生活が破綻したと。
そんな因縁の姉なのに訪ねてこられると受け入れてしまう。昔ばなし(実はこの姉妹にはもう一人妹ベッキーがおり、その妹が遭遇した悲劇的な事件)をしながら腹を抱えて笑う2人。
喜劇王チャップリンは ”人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見れば喜劇だ”と、人生を俯瞰して見ることの大切さを言い表したのですが、この家族はその真逆。冷静に、客観的に見ることを一切せず、超近視眼的で閉塞的。はたから見るとかなりの修羅場も、本人たちにとってはいつの間にか笑い話になっているのです。
”家族”って多かれ少なかれそんなものかもしれません。まさに「よそはよそ、うちはうち」なのでしょう。隣家とのトラブルの原因の”大きな木”にもそんな意味が見え隠れします。
とにかく困った存在の主人公マーゴ。散々人のアラを挙げ連ねたあげくの「私も私が嫌い!」 そんなマーゴのラストの行動もどうとらえていいのやら。そのうち笑い話にしそうなー。
監督は映画『イカとクジラ』(2005年)ほか、こじれた家族を得意(?)とするノア・バームバック。
ニコール・キッドマンとジェニファー・ジェイソン・リーの熱演も見どころです。
「家族って何なのよ」と愚痴りたい気持ちを包み込むように逆なでする映画『マーゴット・ウェディング』 ぜひ。
ちなみに同型の映画『8月の家族たち』(2013年)もおすすめです。こちらは家族をかき回すのは母親(メリル・ストリープ) ジュリア・ロバーツの長女以下、三姉妹の関係も見どころです。
さらに三姉妹と言えば、『叫びとささやき』(1973年/イングマール・ベルイマン監督) やウディ・アレン監督の『インテリア』(1978年)『ハンナとその姉妹』(1986年)などの名作もおすすめです。 合わせてぜひ。