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『のっけから失礼します』三浦しをん  楽しく生きるとは、こういうこと

説明不要の人気作家・三浦しをん氏のエッセイ『のっけから失礼します』

本書は雑誌「BAILA」の巻頭で連載されているエッセイをまとめたものです。BAILAといえば、女性ファッション誌の中でも ”オシャレ意識高い系” ”田中みな実系” の雑誌。

そのBAILAにまったくおもねることなく、いつもの三浦しをんワールドがさく裂しております。

とにかく、「そんな素敵なファッション誌でアホエッセイを書くなよ!」と自分でも思うのだが、「BAILA」読者のみなさまにあたたかく見守っていただいたおかげで、ついに1冊にまとめることができました。本当にありがとうございます。映画の売り文句的に言うと「構想五年!」ということになる。すごい超大作感がでるなあ、アホエッセイなのに。

『のっけから失礼します』より

あの三浦しをんが、あのEXILE一族に!?

ろくに風呂にも入らない、BLオタク、運動が一切できない、家族(父←文学者・母・弟)も面白いことで知られる三浦しをん氏。このエッセイでもそれらの日常が健在であることを確認できます。

が、私が個人的に驚いたのは、しをん氏が映画『HIGH&LOW』シリーズにドハマりしているということ。

一応説明すると、『ハイロー(と略させていただきます)』は、EXILE一族のみなさんが多数出演している作品です。私はEXILE一族の顔と名前がまったく一致していないほどの門外漢なのだが(人気者に疎いから)、「とにかく『ハイロー』がすごいから見るべし」と友人たちに勧められていた。

『のっけから失礼します』より

三浦しをん氏とEXILE一族がどうにも結びつかないし、私自身もEXILE一族のことはサッパリで、なぜ?という思いでしたが、三浦氏曰く、『ハイロー』の世界は志が高いうえに「俺たち、こういうのが好きなんだ」が溢れているのだと。

で、ついに三代目のコンサートにも行くわけですよ、三浦氏は。

「東京ドームが巨大な回転寿司屋と化し、まわってくる寿司が超高級ネタばかり」という状況をご想像ください。

『のっけから失礼します』より

この状況のなかで、かなり様子がおかしくなっている三浦しをん氏を、ぜひ本書でご確認ください。

このエッセイがBAILAの ”のっけ” に掲載されているという不思議

このエッセイはBAILAの連載なので(私も忘れるところだった)、美容やファッションの話もあるにはあるんですね。

が、そっち系で役に立つ話はまったくなく、あくまでもひとりの女性、それも非美容系(人気作家です!)女性の日常の話です。で、その日常にツッコミを入れたくなる仕上がりになっているのです。

私が最も激しくツッコんだのは、しをん氏が着物でお出かけしたときの話(「なにごとも油断大敵」)。

着付けをしてもらったが、本来胸元にくるはずの紋風のウサギの柄が肩の近くにきてしまう。どうやら肉厚になった背中が影響して布地が後ろ側にとられてしまうから。で、これを何とか着付け師の努力によってそれなりの位置に戻すという話なんです。

で、話の締めがこう。

これがお葬式とかだったら、コトだったよ。肩に紋を乗っけた姿で参列するわけにはいかないもんな。厳粛な場で、「水島ー、お前の肩に乗ってるの、インコじゃなくて紋だぞー」状態じゃまずいからな。

『のっけから失礼します』より

”お洒落アラサー”というBAILAの読者を完全に無視した「水島ー、」のくだり。そして、これを巻頭に掲載するBAILAの懐の大きさ。随所に人生を楽しむための「偏愛」と「教養」と「教訓」が仕込まれている三浦しをん氏のエッセイ『のっけから失礼します』をお楽しみください。

おまけのまとめ

『のっけから失礼します』は、連載されたエッセイ+一部書下ろしもあって、あとがきのあとにも書下ろしがあるという、なかなか終わらない感がイイんです。

で、それにならってというわけで、私からもひとつ。

文中でEXILE一族のことはサッパリわからん、と言っていましたとおり、これを書くにあたってEXLIE一族の『ハイロ―』についてはザっと調査(というほどのものでもありませんが)いたしました。

すると、私が今、ひそかに注目している役者、町田啓太さんの名が。

町田啓太さんってEXILE一族(劇団EXILE所属)だったんですね。EXILEって劇団があったんですね。劇団というと四季的なものとか、ひまわり的なものとか、無名塾的なものを想像していますが、そうした劇団なんですよね?

町田さんが私の心に入り込んだのは、ドラマはWOWOWのドラマ『盗まれた顔~見当たり捜査官~』と、青い服着て踊りまくる「東京日動火災」のCM。あー、『ハイロー』見ようかしら……。


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