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映画『バース・オブ・ネイション』(2016年)のザックリとしたあらすじと見どころ

映画タイトル:バース・オブ・ネイション
原題:THE BIRTH OF A NATION
製作年:2016年 アメリカ
監督:ネイト・パーカー

映画『バース・オブ・ネイション』は、

1831年アメリカで起こった黒人奴隷反乱の指導者、ナット・ターナーを描いた映画です。

2016年サンダンス映画祭でグランプリを受賞しアカデミー賞の有力候補と言われた作品ですが、監督・主演のネイト・パーカーが過去に起こした事件がとりだたされ、賞レースから脱落。興行的にも振るわず、日本での公開も見送りになった作品です。

が、見る価値ありの1本です。

キャスト

・ネイト・パーカー(ナット・ターナー)
ターナー家で奴隷として働く傍ら、読み書きの力を生かし黒人奴隷の説教師として活動する

・アーミー・ハマー(サミュエル・ターナー)
ナットの主人

・ガブリエル・ユニオン(エステル)

・アーンジャニュー・エリス(ナンシー・ターナー)

映画『バース・オブ・ネイション』の見どころと感想

© 2016 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION


黒人が奴隷として働かされていた1800年代初頭のアメリカ、バージニア州。ターナー家の農場で奴隷として働くナットは、少年時代に読み書きを習っていたことを買われ、黒人奴隷たちの暴動を防ぐため「説教師」としての活動を担うことになります。

説教のために訪問した家々で、自分よりもはるかに劣悪な環境におかれた黒人奴隷たちの姿を目にしたナット。主人ら白人の求めに応じて聖書の一部を読み上げ「白人に尽くすよう」説教していましたが、次第に理不尽な現実に憤りを覚え、白人社会への抵抗を始めます。

そんなある日、ナットの妻が激しい暴行を受け瀕死の状態に。

ナットは仲間を集め自由を求めて立ち上がります。

しかしー。

評)D・W・グリフィス監督『國民の創生』への反旗的映画

「アメリカ映画の父」と呼ばれるD・W・グリフィス監督の『國民の創生(原題: The Birth of a Nation )』という古い映画と同名のタイトルのこの映画。同じ1800年代の黒人奴隷制度がある社会を描いていますが、『國民の創生』で黒人が暴力的な悪役として描かれていることへの対比(というか皮肉)でこのタイトルをつけたらしいのです。

全編に渡って黒人VS白人。ちょっとは味方なのかな、と思わせるナットの主人(ターナー)もそうでもなくて、穏やかな心になんて一瞬たりともなることはありません。黒人が自由を求めてー、という行動をもちろん応援したいでのすが、けっこうやり方がえげつない。そこまで追い込まれていた、と言えばそれまでですがー。

神とか信仰とかぶっ飛んでしまったかのような事態の連続で、ゆるく生きている現代人にはけっこう堪える作品です。

で、この映画、なんでケチがついたかというと、監督・主演のネイト・パーカーが過去に起こしたレイプ事件がクローズアップされてしまったから。映画の中で黒人女性が性奴隷にされるくだりや激しい暴行を受けるシーンもあり、ネイト演じるナットはもちろんそれに「怒り」を覚える立場です。

が、過去の罪で「ーって言いながら、アンタだって......」という見られ方をしてしまったのでしょう。

いまだに人種差別による事件や問題がおさまらない(どころかトランプ大統領(当時)自ら焚きつけている!?)アメリカ社会なので、この反応も致し方ないのかもしれません。


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