10人産んだら1人殺せる世界#読書日記「殺人出産」
「今から100年前、殺人は悪だった。
それ以外の考えは存在しなかった。」
そんな説明からこの物語は始まっていきます。
最初は「殺人が合法化されるなんて面白い"設定"だな。」なんて思いながら読んでいましたが、
読んでいくうちに、
「100年後本当にそうなるのかもしれない」
そんな風に思わせられる小説でした。
私が一番印象に残ったのは、このセリフ。
「子どもを産むことで人が殺せるなんておかしい。
100年前の価値観に戻ろう」と詰め寄る同僚に対して、
主人公が言った言葉です。
私がこのセリフに心を動かされたのは、
「人を殺しちゃいけない」という当たり前に思えるような感覚も、
決して無条件に信じられる正義じゃないと初めて気づいたから。
幼い頃「死ね」「殺す」なんて言葉を使えば、
親にこっぴどく叱られましたし、
SNSでの殺害予告も大きな問題になっています。
当たり前のように悪いことだと思っていたことだけれど、
なぜダメなのか。と考えてみると、なかなか難しい。。🧐
尊敬するライターのゆぴさんは、
とおっしゃっていました。
私もこの表現がすごくしっくりきて、
子どもを産むってどういうこと?
なんで人を殺しちゃダメなの?
生きるとは?
死ぬとは?
みたいな、答えのない問いに対して、
新しい答えを提案してくれていると思います。
村田沙耶香さんの、
他の小説を読んだ時にも感じたことですが、
人の生死とか、性愛について、
自分がいかに
"世間一般の当たり前"を正解だと思い込んでいるかに
気づかせてくれる一冊でした。
主人公は、100年前の価値観を盲信する同僚に
こうも言っています。
ここ数年の間で、日本の価値観は大きく変わりました。
共働きは当たり前になったし、
女性でバリバリ働く人も当たり前にいる👠
同性婚や事実婚も法整備は追いついていないものの
認められる風潮になってきているし、
結婚だけが幸せといった価値観はとっくに崩壊しています。
こんな数年の間に、価値観がこんなに変わるなら、
100年後、本当にこんな世界が来るのかもしれません。。。
そんな時、
世間の空気に流されるんじゃなく、
特定の価値観にしがみつくでもなく、
自分にとって、ベストな選択ができる自分でありたいなと思いました🌱
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