見出し画像

なぜ勉強をゲームにできないのか

勉強をゲームのように楽しくすることはできるのか?

「ゲームみたいに勉強ができたら、もっと楽しくなるんじゃない?」
そんな風に思ったことはありませんか?なぜ人はゲームには夢中になるのに、勉強にはそうならないのでしょうか。テレビゲームが登場して以来、ずっと語られてきたテーマです。

もちろん、ゲーム感覚で学べる教材やタブレット学習が増えています。しかし、エイペックスやスプラトゥーンのように、夢中で続けられる勉強法はまだまだ見つかっていないのが現実です。ゲーム開発者たちは、プレイヤーを飽きさせない工夫を日夜研究していますが、その魔法が勉強に活かされていないのはなぜなのでしょうか?

なぜゲームは続けられるのか?

ゲームが楽しい理由は、それが単に「面白いから」ではありません。実は、ゲームが面白く感じるのは、プレイヤーを続けさせる仕組みが巧妙に設計されているからです。

たとえば、Pay to Winと呼ばれる課金型のゲームでは、面白さよりも「やめさせないこと」が重要視されています。少額課金することで圧倒的な強さを手に入れ、次第に課金額が増えていく仕組み。これにより、プレイヤーはゲームに引き込まれ、離れられなくなるのです。

このように、ゲームは「面白いから続ける」のではなく、「続けるように作られているから面白い」のです。

レベルアップの快感と報酬の設定

ゲームの魅力の一つは、行動に応じたレベルアップという報酬システムにあります。課金型のゲームでは、最初に例えば150円課金させて10倍の成長を体験させ、その後徐々に課金額を上げていきます。これにより、プレイヤーは大きな快楽を得られます。

課金ゲームでなくても、レベルアップ制の買い切りゲームでも最初は簡単な動作で一気にレベルがアップするし、アクションゲームでもやれることが一気に広がります。

これは勉強にも応用できそうに思えますが、実際にはそう簡単ではありません。勉強において、「ちょっとやっただけで劇的な成果が得られる」というような報酬を設定することは難しいのです。

勉強とゲームの決定的な違い

勉強とゲームの大きな違いは、報酬の設定とその即時性です。ゲームでは、少しの努力で即大きな報酬が得られることが多いですが、勉強ではそうはいきません。たとえば、数学を1時間勉強しただけで突然成績が劇的に上がるとか、収入が10倍になることはありません。

ゲームではプレイヤーが簡単に快感を得られるように設計されていますが、勉強ではそれが難しいため、モチベーションが続きにくいのです。これが、ゲームは続けられるのに、勉強は続けにくい理由の一つです。

ゲームにはゲームルールの中では無限に報酬設定が可能ですが現実世界ではそうもいきません。1時間勉強したら10倍の成績にしますよ。とはできず、圧倒的にゲームのほうが快楽を得られるので、勉強をそっちのけでゲームにのめり込むのはごく自然と言えます。

なので勉強ではちょっとやって10倍の報酬を与える。といったゲーム特有の報酬設計ができません。

また、ゲームでは人が5分で覚えられることを実行すると10倍の給料がもらえたりします。リアルでは、そんなことは不可能です。おそらく100時間勉強しても2倍にもならないでしょう。

このように、労力に対する報酬額がゲームではけた違いなので、ゲームは圧倒的な快楽を得られるのです。
また、ゲーム風の勉強教材では快楽が不足するのもこのためです。

天才が言う「勉強はゲームと同じ」とは?

ときどき、「勉強はゲームと同じだ」と言う天才がいます。彼らは少しの勉強で大きな成果を出すことができるため、勉強もゲームの成長速度と同じかそれ以上になります。

ゲームでは快楽とレベルアップの上限が決まっています。
バグやおかしいルート取りをしない限り、天才が1時間プレイしても、それ以外が1時間プレイしても、伸びるレベルや成長は同じです。多少は違いがあっても大差がありません。

つまりゲームは凡人にとって圧倒的な快楽と成長速度を体感できますが、天才にとっては凡人と同じ程度しか楽しめずつまらなくなることがあります。

一方で1つで100を知り人より10倍理解速度が早い天才だと、そもそも世の中の勉強や内容だけでちょっとやって10倍の快楽・報酬。が実現できます。
そういった場合、勉強がゲームを超えてくる場合もあります。

なお幼児教育ではゲームによる習得内容と勉強による習得内容が同じなのでゲーム化はかなり効果があることだと思います。例えば色分けゲーム等がそうです。幼児期だと日常生活そのものが新発見や大きな報酬になっているため、小学生以上と比べるとゲームの意味は大きくなりそうです。

また、天才だとゲームが詰まらないというわけでもなく、例えばゲームではちょっとやれば世界一の体育選手よりも体育ができる自分になれたり、魔法が使えたりと現実では用意できない報酬が様々ありますので、天才でもゲームにはまらないとは限りません。天才でも全知全能ではないからです。

結論

勉強をゲームのように楽しむためには、報酬システムの設計やモチベーションを維持する工夫が必要です。しかし、ゲームが持つ即時の報酬や快感を勉強に持ち込むのは難しいです。

勉強をゲームと同等の楽しさにする場合、その教科が好きとか楽しいといった特異な状態を除けば、ごく一部のその学科や勉強の天才が、少しのことで一気に快楽や報酬を得られるほど成長するためであって、興味がない人に勉強させる場合、ゲームの形式はあまり良い手段とは言えないかもしれません。

もちろん、ゲーム化することで分かりやすく、ビジュアル的になるので文字を読むだけより面白くでき、いつでも自己学習できて学習環境が改善されるという利点はあるでしょうから無駄ではないことは付け加えておきます。

いいなと思ったら応援しよう!