私たち、人間が好きなんです。
昨年末に父が圧迫骨折を引き起こし、
救急車のお世話にもなった。
腰の傷みが激しく、
私はようやくここに至って
ケアマネージャーさんに連絡を取り、
デイサービスの利用から、
ポータブルトイレや歩行器の導入へと
一気に介護と向き合うことになった。
そして先日は、ケアマネージャーさんに
在宅介護サービスの介護福祉士さん、
さらに福祉機器会社の営業さん、
そしてかかりつけ医の先生も交えて
ミーティングを行い、
老々介護の母をサポートすべく、
とりあえず週5回の在宅介護を依頼した。
そのとき、
訪問介護員(ヘルパー)を務める
介護福祉士さんが、
「お父さまの様子を
見させていただけますか?」
と言って、その場で
下着交換まで行ったのだ。
先ほどまで見ず知らずだった
老人の下着を、
やさしく語りかけながら
交換する姿に、
私は頭を下げた。
*
父の下着交換が終わり、
日頃の仕事についての
話になったのだが、
ときに排泄物とも向き合うような
日々の業務に私が
「本当に大変なお仕事ですね」
と言ったのに答えて、
冒頭の言葉は放たれた。
私たち、人間が好きなんです。
そのとき私は、
「あの担当は難しい」だの
「あの部長は人の話を聞かない」とかいう
浅はかな人物批評をはさみつつ
仕事をすることの
恥ずかしさに気づいた。
人間が好き、だなんて
おいそれと
私には言えない。
しかし、余計なことを言う
暇があったら、
まず向き合って仕事だ。