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思わず誰かに話したくなる経済の不思議―エコノ探偵団 (日本経済新聞社)

(注:本稿は、2013年に初投稿したものの再録です)

 日本経済新聞に連載されている経済コラム「エコノ探偵団」を文庫版として再録したものです。旬なテーマを経済的視点から分かりやすく解説してくれます。

 それらの中からひとつ、いろいろな意味で私の興味を惹いたトピックを書き記しておきます。
 「世界遺産はいいことずくめ?」というテーマです。

 そもそも「世界遺産」は、1972年のユネスコ総会で採択された「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」に基づいて登録された人類が共有すべき「顕著な普遍的価値」を持つ遺跡・建造物・景観などのことです。そして、その基本理念は、歴史的価値の保全・保存にあります。
 しかしながら、現実的には、世界遺産登録を地域振興・観光資源化策の一環として位置付けているかのような状況も見られるのです。

(p54より引用) 形あるモノを受け継ごうとする世界遺産に加え、形のない文化を守ろうと2003年に始まったのが「無形文化遺産」だ。芸能や祭事、伝統工芸技術などが対象で、現在267件の登録がある。・・・
 さらに、ユネスコは歴史上重要な文書などを後世に伝える「世界の記憶」事業も進めている。・・・モノや自然にとどまらず、後世に残すべき人類の英知は多い。

 この「世界の記憶(世界記憶遺産)」事業というのは面白い切り口で気になりますね。後世に伝えるべき歴史的に重要な記録遺産を最新のデジタル技術を駆使して保全し公開することを目的としているものとのことですが、とても意義のある取り組みだと思います。

 さて、本書ですが、読み通してみて、「経済の不思議」というタイトルはちょっとずれているかなという印象を受けました。
 確かに、採り上げている材料は、広義に捉えれば「経済」の話だと言えなくもありません。ただ、私としては、ひろく身の回りにころがっている話題を、狭義の(専門的な)「経済(学)」的観点から捉え、難しい答えを素人分かりするような説明で明らかにするような内容を期待していました。

 そういう期待感からみると、正直なところちょっと物足りなく残念な一冊でした。



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