ガンディー 獄中からの手紙 (ガンディー)
本名は、モハンダス・カラムチャンド・ガンディー。
言うまでもなくマハトマ・ガンディー(マハートマー=「偉大なる魂」)として知られるインド独立の父です。
1930年、ガンディーはヤラヴァーダー中央刑務所に収監されていました。
本書は、その期間中に、自らが設立した修道場で彼の教えを実践する弟子たちに宛てた書簡集です。
実を言えば、今まで私は、ガンディーに関するまとまった著作を読んだことがなかったので、彼の思想に直接触れるのはこれが初めてになります。
ということで、まずは、手始めにガンディーの有名な「非暴力」の思想について、訳者森本達雄氏の巻末の解説から引用しておきます。
本書では、この「非暴力」の教えが随所に出てきます。
たとえば「寛容即宗教の平等」の書簡でのガンディーの言葉です。
ガンディーの教えによると、この「非暴力」は「アヒンサー(=ahimsa(愛))」の一つの現出形です。
そして、この「アヒンサー」も最終の目的ではありません。
真理を完全に体得すると、もはや、何一つ他に学ぶべきものはなくなる、一切の執着心から解き放たれて自由になるとガンディーは説いています。
すなわち、輪廻の束縛から逃れて「解脱」に至るのです。
ガンディーの思想は、複数の宗教の存在を肯定します。真の宗教はひとつではあるが、それが人間という媒体を通してさまざまな形に表出しているのだと考えるのです。
ここには「寛容」の思想が在ります。しかし、ガンディーは「寛容」という言葉を好みませんでした。
「絶対」を尊重し目指しながらも、自らを「相対化」する懐の深い姿勢だと思います。
さて、本書はとても刺激的で興味深い内容でしたが、その中から最後にひとつ、とても考えさせられたくだりをご紹介します。
ガンディーが「謙虚」について語ったところです。
最後のフレーズは強烈な真理ですね。私自身、改めて姿勢を正さなくてはなりません。