即戦力の人心術―部下を持つすべての人に役立つ (マイケル・アブラショフ)
かなり以前に評判になった柴田昌治氏の「なぜ会社は変われないのか」という本を思い出しました。
著者のマイケル・アブラショフ氏は元海軍大佐。成果の出ない無気力な乗組員を一大変身させて、最優秀戦艦に至らしめた新艦長の取り組みのエッセンスを、テンポよく紹介したものです。
基本は、「一人ひとりのメンバが自ら考えて動く」という自律的組織づくりです。
まず、著者である新艦長が行ったことは、部下との会話でした。
著者は、部下に自主的なチャレンジを促しつつ、その結果については自責として受け止めています。
うまくいかなかった場合、「そのほとんどの原因は自らにもある」との自覚です。これは、結構難しいことです。
著者が目指したのは、チームとしての総合力です。そのためには、個のパワーアップが不可欠であり、その肝になるのは、個々の判断力になります。
ここでの「個」で優先すべき層は「中間管理職」です。これは軍隊でも企業でも同じです。
本書では、多くの具体的な「改善アイデア」や「べからず集」が示されています。その多くは、私にとっても大きな反省材料でした。
たとえば、メールによるコミュニケーションについての指摘です。
最後に2点、著者の「リーダー観」を示したコメントです。
ひとつは、「指導者の評価」について。
もう一つは「リーダーの役割」についてです。
さて、本書ですが、具体的な成功のポイントがサクサクと示されていて大変読みやすい本です。指摘しているポイントも(特に目新しいものは少ないのですが、)首肯できる内容です。
ただ、ちょっとリアリティには欠けるような印象を持ちました。現実の意識変革の現場には、もっともっと泥臭い山谷があるはずです。
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