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宇宙の哲学 (伊藤 邦武)

(注:本稿は、2024年に初投稿したものの再録です。)

 いつも利用している図書館の新着本リストで、タイトルに惹かれて手に取ってみました。

 第一印象はちょっと難しそうに思いましたが、ともかくチャレンジです。

 と、威勢だけはよかったものの、結果は惨憺たるものでした。
 予想通り、数々の興味深いテーマについて解説されていたのですが、正直なところ私にはまったく理解できませんでした。

 たとえば、「第一講 コスモロジーの自立」で記された “ニュートン力学の意味づけ” について説明しているくだりです。

(p18より引用) 『プリンキピア』で打ちたてられた力学の三法則や万有引力の法則は、世界全体をいわゆる機械論的な観点から分析するならば、必ずや認められるであろう現象の法則的性質を、数学の言語で正確に表現したものです。そして、これらの法則を表現する方程式に現れる変数が示す「時間」や「空間」は、この世界の一切の現象がそれを尺度にして語られる根本的な座標軸を意味しています。ガリレイやケプラーの成果を踏まえたニュートンの力学の完成は、それゆえ、単に物理学上の革命である以上に、「科学的世界像」というものの明確な確立という意味で、哲学的な革命という性格をもっていたというべきでしょう。

 少々長い引用になりましたが、御覧のとおり、この部分は「それゆえ、単に物理学上の革命である以上に、「科学的世界像」というものの明確な確立という意味で、哲学的な革命という性格をもっていたというべきでしょう」というフレーズで結ばれています。

 恥ずかしながら、「それゆえ」といわれても、私の頭ではその前段の論理がまったく理解できません。
 早々とこの箇所以降、著者の解説についていけなくなりました。

 自分の理解が及ばないところを書き留めておくのは無意味だとは思いますが、その情けなさを印づける意味でも、もう1か所引用しておきます。
 「補講 パースの宇宙論」、哲学における “カテゴリー論” を “宇宙論” に展開した解説部分です。

(p148より引用) したがって、このカテゴリー論を、「カオスからコスモスへ」という先に出てきた進化論的宇宙論の基礎的なモチーフに重ねてみると、宇宙のこの進化の過程とは、第一性のみの世界から第三性に支配された第二性の世界への移行ということになる。つまり、あらゆる確定性、法則性を免れた混沌の世界から、第三性としての法則性が成長することによって、あらゆる事実が法則に従ったかたちをとって生じるような第二性となる世界への移行というのが、この宇宙全体のもっとも大規模な進展の論理である、ということになるわけです。

 “?????・・・・”、そもそもこの書籍、哲学の基礎的な素養のない私が安易に手を出せるような内容の著作ではなかったようです。
 久しぶりに “全く手も足の出ない相手” に出会いました。



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