飛び立つ季節 :旅のつばくろ (沢木 耕太郎)
(注:本稿は、2023年に初投稿したものの再録です。)
いつも利用している図書館の新着本リストで目に付いた本です。
沢木耕太郎さんと言って思い浮かべる代表作は「深夜特急」ですが、本書は、日本国内の旅でのエピソードを綴ったエッセイです。肩ひじ張らずにページをめくってみようと読み始めました。
沢木さんの “旅の原点” は、16歳の時の東北一周の一人旅とのこと。
出発の地「上野駅のホーム」を久しぶりに訪れた沢木さんはこう記しています。
私も “行き止まりのホーム” には思い出があります。
私の初めての一人旅は高校2年生のときですから、沢木さんと同じ16歳ごろですね。行先は九州一周。沢木さんは、夜行列車と駅と国民宿舎が宿だったそうですが、私の場合の宿は夜行列車とユースホステルでした。
夜行列車の始発駅と到着駅は行き止まり。門司港を出て長崎までが振り出しでした。次の日は、また門司港まで戻って、今度は西鹿児島へ。
その後、大学生になっての北海道旅行のときは、上野発、青森。行き止まりのホームを降りて、そのまま桟橋へ。そして青函連絡船で函館。青函トンネルが開通した今となっては、もうこのルートは辿れませんね。
このエッセイの舞台は「旅」です。
この国内小旅行でも、目的地は定めても細かな予定は立てず、事前の情報収集もしないのが “沢木流”。なので、旅先で行先を変えたり寄り道をしたりするのは日常茶飯事です。
そうですね、新たな発見は行かなくては得られません。
行ってみて何もなくても、期待外れでも。それもまた “旅の思い出” です。