(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)
新田次郎さんの代表作、もう40年以上経ちますが映画化もされた有名な作品です。私も以前から気にはなっていて、ようやく手に取ってみました。
しかし、小説で読んだだけでも想像を絶する困難で無謀な雪中行軍だったのですね。途中の連絡手段も持たず、非常事態時の救出プランもないままに、真冬の八甲田山踏破を試みさせるというのは理解不能です。確信犯的な「実験」と言わざるを得ません。
名著「失敗の本質」で取り上げられた “太平洋戦争時の日本陸軍の救いようのない思考スタイル” が、このころにすでに軍幹部・将校はもとより下士官から兵卒に至るまで軍隊という特殊集団の根底に巣食っていました。
まさにそのものの姿、神田隊が猛吹雪の中、進退を決める作戦会議。
そして、今2021年(注:最初の投稿時)にも、舞台は違えども日本は様々な意思決定の場において、同じ轍を踏みつつあります。
この記録文学の結尾、新田次郎氏はこう結んでいます。
そして、さらにそのまま太平洋戦争へと突き進んでいったのです。