汝の名はスパイ、裏切り者、あるいは詐欺師 (手嶋 龍一)
(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)
よく聞いているPodcastのバックナンバーの番組で紹介されていたので手に取ってみました。
著者の手嶋龍一さんはNHKの海外特派員としてよく知られていますが、その経験を活かしてインテリジェンス小説も書いているんですね。
本書は、サブタイトルに「インテリジェンス畸人伝」とあるように、フィクションではなく「人物評伝」です。
その人物の中には当然のことのように「リヒャルト・ゾルゲ」がいました。彼が活躍する第二次世界大戦期、極東でのインテリジェンスの実態を語ったくだりです。
本書では、このゾルゲの他にジュリアン・アサンジやエドワード・スノーデンといった私たちと同時代の人物についても取り上げられていました。
ただ、書かれている内容は期待していたほどの密度ではなく、“さわりの紹介” 程度だったのが残念です。
こういったジャンルの場合、ノンフィクションもいいのですが、上質のフィクション作品(小説)の方がかえってリアリティが感じられたりします。
今度は、まだ手に取っていないジョン・ル・カレの定番作品も読んでみましょう。