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「超」勉強法 (野口 悠紀雄)

 会社の方からお借りして読んでみた本です。

 私自身は、野口悠紀雄氏の著作はそれほど読んでいません。ただ、かなり以前、ベストセラーになった「「超」整理法」には目を通した覚えがあります。分類せずに、封筒に入れた資料を「時間順」に並べるという方法は、当時としてはかなり斬新なアイデアで結構印象に残っています。

 今回手に取った「「超」勉強法」は、その「「超」整理法」を皮切りにしたいわゆる一連の「超」シリーズの一冊。2000年(単行本は1995年)の発刊です。主張の前提となっている環境が少々古いという印象は否めませんが、野口氏流の大胆な提言・アドバイスは健在です。

 さて、本書で紹介されている「勉強法」。英語は「教科書丸暗記法」数学は「パラシュート法」・・・等々、これら具体的なHow to については、必ずしもすべてが首肯できるものとは限りません。ただ、野口氏が掲げている「基本三原則」については同意できますね。ちなみに、その基本三原則とは以下のようなものです。

(p48より引用)
(1) 楽しいこと、興味のあることを勉強しよう。知識が増えれば、興味も深まる。
(2) 全体から理解せよ。部分の積み上げで理解するのでなく、まず全体を把握する。それに基づいて、「鳥の目」で各部分を位置づけよ。
(3) 八割まではやり遂げよ。八割できたら先に進め。

 第一原則は「動機付け」の面からの指摘ですし、第二原則は「全体思考」、第三原則は「優先思考」の適用です。

 本書は、野口式勉強法を紹介したHow to本ですが、ところどころに、当時の学校教育に対する野口氏の見解が開陳されています。

 たとえば、こういう感じです。

(p268より引用) 私は暗記・詰め込み教育の重要性を強調したい。若いときに詰め込み教育を受けるのは、大変意義があることだ。「創造力のために教育が必要」といわれるけれども、創造は学習からしか出てこない。問題は、詰め込む内容が不適切なことにある(そして、・・・問題意識がない年齢で詰め込みを行うことにある)。

 また、より総論的な野口氏の想いが語られているくだりを「あとがき」から引用してご紹介します。

(p273より引用) 勉強できる客観的な条件に恵まれながら、能力を理由に勉強しない生徒の言い訳は認めたくない。大学に入ったとたんに勉強を放棄する学生には、折角与えられた貴重なチャンスを無駄にするなと忠告したい。「ゆとり」を主張する教育改革論者には、教育を受ける権利を子供から奪わないでほしいと訴えたい。「おちこぼれの生徒に暖かい目を」という教育評論家には、能率的な勉強法を教える以上に暖かい方法があるだろうかと問いたい。そして、「詰め込みより創造を」という人には、詰め込みなくしていかなる創造もありえないことを指摘したい。

 野口氏は、本書で、数多くのTipsを紹介していますが、その元には、「誰しもいくつになっても勉強すべきだ」との考えがあります。そして、その考えを実践するため、勉強が苦痛にならないよう、楽しんで勉強できるよう、野口流の具体的な工夫を提言しているのです。



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