著者の池波正太郎氏は、ご存知の通り「鬼平犯科帳」「仕掛人・藤枝梅安」等の歴史娯楽小説の巨匠です。
本書は、その池波氏が、「男をみがく」というテーマに対して自身の人生経験からの思いを語ったものです。
と、著者自身「はじめに」に記しているとおり、「今のご時勢どうかな?」と感じるところもありましたが、底流する姿勢として首肯できる話も多々ありました。
そのいくつかをご紹介します。
まずは、「身だしなみ」について。
このあたりはよく分りますね。私は「おしゃれ」については全くセンスも関心もないのですが、やはり、何かイベントがあるときには、このネクタイにしようとかこの靴にしようとか、ちょっとは意識します。
その他、池波氏の語りですが、時代背景のズレや「男は」「女は」といったステレオタイプ思考はともかくとして、対象が「人」だとすると、その内容は至極真っ当で、大人としての気遣いを感じます。
たとえば、生きる姿勢の根本についての池波氏の考えです。
また、芝居の演出についての流れで、こうも話しています。
こういう感じで、池波氏は、周りの人への心配りを大事にすると同時に、自分自身にも謙虚さを求めます。
巨匠といわれる方は、どうしても知らず知らずのうちに「裸の王様」になってしまいます。自分はそういうつもりでなくても、周りの接し方が変わってくるところもありますし・・・。
そういうときの、第三者からの助言は大変貴重でありがたいものです。