スウェーデン 福祉大国の深層 金持ち支配の影と真実 (近藤 浩一)
(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)
いつも利用している図書館の新着書の棚で目についた本です。
スウェーデンといえば、今回の新型コロナ感染症対応での独自のスタンスをはじめとして、福祉や教育に対する基本姿勢等も日本とは大きく異なっていて興味を惹く国ですね。
本書は、現地企業に勤務する著者によるスウェーデンの実像のレポートです。
スウェーデン人の暮らしぶり、国民性、教育・福祉・環境問題、軍事産業の実態等々の面で数々の意外な事実が紹介されていましたが、それらの中で特に印象に強く残ったのが、スウェーデンの「医療」の実態です。
スウェーデンは、まずは一般診療所(総合診察医)で診察してもらい必要に応じて専門医につなぐ「ホームドクター制度」をとっているとのことですが、その運用実態は必ずしも問題なしとは言えないようです。
医療の場合は、命に係わるものですから、やはり緊急対応を優先したいですね。
こういった問題を回避するために公的医療制度を利用せず民間の診療施設を利用することも可能なのですが、この場合はかなり高額な金銭負担を要することになります。
スウェーデンの医療実態は、若年層の医療費は無料であったり不妊治療の分野では世界最先端の技術を有したりと優れているところは確かに存在しています。
とはいえ、こうやって全体像を眺めてみると、一般診療医の医療技術は概して低レベルですし、公的制度を補完するための個人保険費負担も相当額に及ぶようで、必ずしも日本と比較して圧倒的に進んでいるとは言い難いのが実態のようです。
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