猪瀬直樹の仕事力 (猪瀬 直樹)
著者は現東京都副知事の猪瀬直樹氏(注:2011年、投稿当時)。
先般、猪瀬氏の30年近く前の著作「昭和16年の敗戦」を読んだのですが、本書は新刊です。
第一章は、最近の「時評-改革の現場から」、第二章は「誰も知らなかったコトを見てみたい」という企業ルポルタージュ、第三章は「対談-「日本」と「文明」をめぐって」。それぞれが独立した構成です。
そのなかで、特に私の興味を惹いたのは第二章。
株式会社ワンビシ・アーカイブズをレポートした「災害から情報を守るアイデア商社」で紹介されている創業者樋口捲三氏の発見力と行動力はずば抜けたものでした。
このあたりは、ホンダの創業者であるあの本田宗一郎氏に相通ずるところがありますね。
また、第三章の「対談」の中にも興味深い指摘がありました。
たとえば、作家小島信夫氏との対談「ノンフィクションと文学のあいだ」から「批評家の役割」についての猪瀬氏のコメントです。
もうひとつ、なるほどという指摘。フランス文学者山田登世子氏との対談「『有名人』はただの現在にすぎない」から、猪瀬氏による「アメリカ大統領選」の意味づけのくだりです。
さて、本書を読み通しての感想ですが、その内容は、「猪瀬直樹の仕事力」というタイトルから私が勝手に想像していたものとはちょっと違いましたね。
ただ、採録されている形式もコラム・ルポルタージュ・対談と、また、テーマも、時事問題・経営・文学論等と多種多様で、猪瀬氏の考え方を多角的な視点から辿るにはなかなか面白いものでした。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?