サラリーマンは、二度会社を辞める。 (楠木 新)
(注:本稿は、2013年に初投稿したものの再録です)
タイトルに惹かれて読んでみた本です。
私にとっての「今年」(当時)はひとつの節目の年でもあったので、なおさら気になりました。
会社の中で、人事関係の業務に長年たずさわっていたという著者の実体験にもとづく示唆が記されているのですが、それらの中で、私がちょっと気になった部分を書き留めておきます。
著者は、40歳を過ぎてメンタルが原因で休職したとのこと。その際の気持ちを以下のように語っています。
会社内に限ったことではありませんが、人間が生きていく中では、日々何らかの判断・決断を下しています。究極の判断は「Yes or No」「Go or Stop」といった“二者択一”の形式をとります。そのいずれかを選ばざるを得ないのは、判断主体が「ひとつ」だからです。
判断主体が「複数」であれば、複数の選択肢を併存させることができます。
著者が本書の読者として意識しているのは、いわゆる「勤め人」です。特に、中堅社員から退職間近、年齢的には40歳から50歳前半あたり。今の会社生活に慣れ、今後の会社人生を見通してある程度先が見えてくる年代です。
(私もそのうちの一人(当時)だと思いますが、)この世代の多くの会社員は著者いわく「こころの定年」を迎えているのですが、こういった人たちへ著者からのメッセージです。
さて、本書の感想ですが、世の中の多くの会社において、著者が指摘しているような実態がまだまだ存在していることは否定しません。しかしながら、取り上げられているシーンのいくつかには、かなり違和感を感じました。私が読んでも「一昔前」感が拭えませんでしたね。
会社に入って数年程度の若手ビジネスパーソンは読まない方がいいと思います。まだまだ身近な問題ではありませんし、読んだからといって、明日から元気に会社で頑張ろうというモチベーションが沸くかといえば、そうでもないでしょうから。