だめだこりゃ (いかりや 長介)
(注:本稿は、2014年に初投稿したものの再録です)
時々行く会社の側の図書館の返却棚で見つけた本です。
著者は、いかりや長介さん。
私の年代で「いかりや長介」さんといえば、やはり小学生のころ欠かさず見ていたTBS の“8時だョ!全員集合”の印象が強烈ですね。
本書は、そんないかりや長介さんによる “自伝”です。わくわく気分で読んでみました。
まず、なるほどと思ったのは「ドリフターズの笑いのパターン」の誕生について語ったくだりです。
初期のドリフターズのコントのネタは、全ていかりやさんが搾り出していたものでした。その役割はそれ以降もずっと続くのですが、ドリフターズのメンバが固定化されそれぞれの個性が定型化してくると、ネタの考案方法も変わってきたというのです。
このパターンの転機は、荒井注さんが脱退して志村けんさんが新たなメンバーとして加わったときでした。
この変遷は、“8時だョ!全員集合”の最初のメインコントを思い起こしても、確かにそうですね。大がかりな造作を使った生放送でのコントを柱に、アイドル歌手への適度な“いじり”。
“8時だョ!全員集合”という番組は、当時プロ野球全盛のころ、その裏番組であったにも関わらず驚異的な視聴率を稼ぎ出したモンスター番組でした。
しかし、時を経るにつれ、花形番組も他局のバラエティー番組の後塵を拝するようになります。
この盛衰の期間、一貫してマネージャとしてドリフターズを支えたのは井澤健氏でした。いかりやさんの井澤氏への信頼は絶対的でした。
とはいえ、やはり「チームとして」のドリフターズの限界も、井澤氏は見通していました。いかりや氏に俳優の道を紹介したのが、その皮切りでした。
さて、本書を読んで、最も印象に残ったところを最後に書きとめておきます。
それは、「あとがき」の冒頭で記された「この本を書くに至った動機」を紹介したくだりでした。
そういういかりやさんの気持ちを変えた契機は、いかりやさんの友人であり、師匠であり、同志であった荒井注さんとジミー時田さんが相次いで亡くなったことでした。
いかりやさんの朴訥とした心優しい人柄が溢れていますね。
(注:そして今、2023年、私にとっての大切なレジェンドは、加藤茶さんと高木ブーさんの二人になってしまいました。)
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