(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)
Webマガジンのお薦め記事で紹介されていたので、手に取ってみました。
期待していたとおり、(ダニや昆虫関係のウェイトが高かったのですが)生物学・生態学に関わる “興味深いエピソード” が数多く記されていました。
まずはタイトルにもある「生き抜く」というコンセプトに密接に関連した「進化」についての基本事項の押さえから。
“環境への適応” が進化の本質というわけです。「自然選択」で生き残った種も “絶対的に優秀” だったわけではありません。おかれた環境に “より適応”できたということで、別の環境だったら別の種が選択されただけです。
したがって、生物種はよりバラエティに富んでいた方が、所与の環境にマッチする(=生き残る)可能性が高まるということになります。
まさに「多様性」万歳!ですね。
この “生物多様性” の本質を長谷川英祐北海道大学大学院准教授はこう指摘しています。
「進化」は、最近流行りの “Sustainability(持続可能性)” の実現事象の典型例です。
著者は、この進化の流れの中で生まれる “多様性” とそれを “受容” することが「人間という種の特性」であると語っています。
とても大切な視点であり、的確な指摘ですね。
そして、ちょうど著者がこの本の最終校正のタイミングで発生した「新型コロナウィルス禍」。
現下の状況において、著者が鳴らす警鐘であり、著者が説く教訓です。