もういちど読む 山川世界史 PLUS アジア編 (木村 靖二 他)
(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)
いつもの図書館の新着本リストの中で見つけた本です。
私たちの年代の中には、「山川世界史」というと高校時代の教科書を思い出して、ピッとビットが立つ人が一定数いるだろうと思います。私もそのうちの一人です。
以前、似たようなコンセプトの本で「もういちど読む山川日本史」は読んだことがあります。
本書は「世界史」。まずは「アジア編」から早速読んでみました。
個々の史実の説明については置いておくとして、「歴史の捉え方」の面で参考になったところをひとつ書き留めておきます。
東洋史学者内藤湖南が唱えた「唐宋変革説」について概説したコラムの一節。
あと、エピソードとして私の興味を惹いたものも紹介しておきましょう。
中国「明」の建国者朱元璋にまつわる説明です。
低い身分からの権力を得た場合、その権力をもって自らも “特別の人物” として独裁者的振る舞いをするケースが多い中で、この朱元璋の政治姿勢は結構珍しいと思いませんか?
さて、本書を読み通しての感想です。
やはり “山川の世界史” ですね。古代から現代までの「時間軸」を基本にして、「地域別」に、「政治・経済・文化」といったジャンルごとに人名・地名・エピソード名などを並べていくという “作法(形式)” は不変です。
とかく “無味乾燥” と揶揄され、私も同様の印象を持ちますが、とはいえ、こういった構成の書籍の存在も意味がある場面はあると思います。
本書のような “ベタっと” 歴史の構成要素のパーツを並べたものを眺めながら、興味を惹いた血肉の通った人々の営みの跡を辿る書物を探し出したり、気になる史実の位置づけをあれこれ考えたりするのでしょう。