Twitter革命 (神田 敏晶)
今(注:2010年当時)、話題のツイッター関係の本です。
私も昨年(2009年)秋ごろからツイッターに登録して、ときおりTweetしてみていますが、未だに今ひとつその魅力がつかめていません。そういう事情もあって、まず「ツイッター理解の入口」として手に取ったものです。
本書で紹介されているツイッターの機能・効用は種々ありますが、その中で特に、私の興味を惹いたものをご紹介します。
それは、情報を選別しつつ拡散させる「ソーシャルフィルター効果」。ツイッターの「RT(Retweet)」という作法(機能)でもたらされます。RTとは、気になったTweetをそのままあるいは簡単なコメントを付加して転送する機能です。
ツイッターの参加者が「ゆるいつながり」の中で、他者の発言を読み流したり転送したりするプロセスを経ることにより、情報が次第に取捨選択されていくというわけです。
こういった情報流通は、「情報元→マスコミ→大衆」という旧来型の流れではありません。
「マスコミ」が提供する情報と「対立」するもの、「先行」するもの、「補完」するもの・・・と様々な位相の情報が、ファロワーの関心とそれを反映したちょっとしたアクションで変容・拡大しながら、また多くの場合は黙殺されながらツイッター内を流れていくのです。
こういった世界観を受け入れるには、いままでおそらく自然に身に染み付いてしまっている「マスコミを通じた現実の捉え方」の転換が必要となります。
ツイッターとの接し方には、「情報発信」「情報受信」「情報交信(発信&受信)」といったパターンがあります。私自身ツイッターを数ヶ月使ってみて、この中で特に「情報受信」にツイッターならではの特徴があるように感じはじめました。
それは、流れるTimeLineの中のノイズの存在です。受信した瞬間は「ノイズ」と感じても、その「ノイズ」が新たな気づきをもたらすこともあります。一瞬にしてそれはもう「ノイズ」ではなく「有益な情報」となるのです。
Googleに代表される「検索」による情報収集は、自分で「キーワード」を選び「能動的に検索」して情報をとりに行きます。
ツイッターは、その点、受動性のウェイトが大きいのです。受動的に情報を受けることは、一見消極的には見えますが、むしろ、自らをオープンマインドにし、自分の視野外の事象や感性を認識する「積極的な気づきのチャンス」を容認しているとも言えるのです。
ツイッターは、人間が介在することによって「ノイズ」に積極的な意味づけを行うツールでもあります。
(注:この10年以上前の自分の投稿を省みて、今のツイッターという場に対する私の印象は、かなりネガティブになっています。個々人のパーソナルツール的色合いが強くなり、内容もフェイク情報や悪意のある誹謗中傷を目的とした投稿が顕著に目立つようになってきたように感じます。むしろ、“情報の偏り” が増幅されてしまうのです。)
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