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コンサルティングの基本 (神川 貴実彦)

 コンサルティングやコンサルタントについて、その概要をコンパクトにまとめた本です。

 以前、コンサルティングファームの内幕や虚像を描いた「コンサルタントの危ない流儀」という本を読んだことがあるのですが、本書は、そういった趣きのものではありません。

 本書の目指しているところは、コンサルティング業界に関心のある人に対するコンサルティングファーム・ガイドブックであり、その内容は実務的でありかつ教科書的です。ロジカルシンキングやマーケティングスキル、最新のITトレンド等々についての説明は導入レベルに止まっています。

 戦略系コンサルティングの業務内容については多くの本も出ていますが、本書では、組織人事系・フィナンシャル系といった特殊な分野を専門としたコンサルティングファームの業務についても概説されています。特に、M&Aプロジェクトの解説の部分は、私のようにこの分野の素人には参考になりました。

 本書の冒頭、「コンサルティング業界の基礎知識」の章で、コンサルティングファームの8大機能として以下の機能を挙げています。

・プロフェッショナルアウトソーシング機能
・ゼロベース思考機能
・プロジェクトマネジメント機能
・ファシリテーション機能
・アクションラーニング機能
・ベストプラクティス機能
・箔付け機能
・諫言機能

 私もいくつかのコンサルティングファームと一緒に仕事をしたことがあるのですが、私が彼らに期待したところは「プロジェクトマネジメント機能」が一番でしたね。
 また、最近のプロジェクトでは「ファシリテーション機能」や「アクションラーニング機能」も求めました。どうせ同じフィーを払うのなら、少しでもコンサルティングファームのノウハウを習得したいとの思いです。

 しかしながら、「クライアントへの提供機能」としてコンサルティングファーム側から明確に「箔付け機能」を挙げられると、依頼側としては何とも情けないですよね。


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