変化の時代、変わる力 ― 続・経営思考の「補助線」 (御立 尚資)
かなり前ですが、御立尚資氏による前著「経営思考の「補助線」」も読んでいます。
本書も前著と同じく、日経ビジネスオンラインの著者の連載コラムをもとに加筆・修正したものです。
テーマは「変化」と「適応力」。
いくつもの参考になる指摘が見受けられましたが、その中から2・3、覚えに書き留めておきます。
まずは、変化に対応するための「シナリオプラニング」に関するところから。
シナリオプラニングについては、重要性は認めつつも、その実効については懐疑的な意見も寄せられています。その多くは、「シナリオ」そのものの「非科学性」に対するものです。この点について、著者はこう捉えています。
策定するシナリオが、科学的・確率論的に精緻なものであることはそもそも無理だ、むしろ、想像力を働かせ、将来の世界観を「イメージ」や「ストーリー」で語るレベルでよいというのです。
シナリオの精緻さを追及するよりも、それを踏まえた適応力をつけることの方が、現実的な変化への柔軟な対応を可能にするという考えです。
次は、著者がアフリカの難民キャンプやスラムで聞いた「教育への希望」の声について。
ケニアで回った食糧援助の現場3ヶ所で、著者は「食料以外にどのような援助を期待しますか」と問いかけました。その質問に対する彼らの答えです。
また、干ばつで家畜を失った遊牧民はこう語ったといいます。
こういった極限の生活環境にあるアフリカの人々の切なる願望を、今の日本の教育現場や生徒・学生はどう感じるのか、大学生・高校生の子どもをもつ私自身(注:2012年当時)としても大いに考えさせられるところがありますね。
最後に、第一次南極越冬隊隊長だった西堀榮三郎氏の「変化に対応するための姿勢」についての言葉をご紹介しておきます。
最初というのは何が起こるか全く分からない。その極限経験から西堀氏は「虚心坦懐に物事を見つめ、日々変化に目を凝らし、課題は解決できるものという信念でソリューションを考える」という態度を会得したのでした。