企業参謀ノート[入門編] (大前 研一 監修)
(注:本稿は、2013年に初投稿したものの再録です)
「企業参謀」を初めて読んだのは、私が学生のときですからもう30年以上(注:今からだと40年以上)前だと思います。
当時、私は学生で、企業戦略とかマーケティングとかといった言葉自体にも疎かったこともあり、大前氏が説く合理的な思考に大きな感化を受けました。
本書は、タイトルが「ノート」「入門」、さらに「大前研一『監修』」とあるので、いろいろな意味で興味を持って読んでみました。
最初に明確にしているのは大前氏のイメージする「参謀」の定義です。
「何をどう実行すればいいか」を明らかにするという点で、分析屋とか評論家とかとは明らかに異なる人物というわけです。
「何をどう実行すればいいか」については、「目標の設定」とその目標を達成するための「具体的な施策の検討」というプロセスを踏みます。しかしながら、多くの場合、考えつく施策では目標に達せず、そこに「戦略的ギャップ」が生じることとなります。
この「戦略的ギャップ」を埋めるためには大胆なパラダイムシフト(戦略的代替案)が求められるのです。
本書では、戦略策定に関する論理的な思考方法やプロセスを紹介していますが、それらの技法に加えて、「参謀」として成功する要諦として「完全主義を捨てる」という姿勢を挙げています。
そしてさらに、「完璧を廃した実行プランを策定したら、その実行プランについては『完璧に遂行』する」こと、この点の重要性についても大前氏は指摘しています。とても大事なポイントだと思います。
さて、最後に本書を読み通しての感想ですが、「企業参謀」の入門編というよりも、大前氏流の戦略思考のエッセンス版という印象でした。
あっという間に読めるので、戦略思考のオリエンテーション用としては取っつきやすいと思います。ただ、大前氏の著作を何冊か読んだことのある方には不要な本でしょう。
最後に、もうひとつ引用です。
この部分は、私が初めて「企業参謀」を読んだとき、PPM法と同じぐらいインパクトを受けた指摘でした。
その影響は大変大きく、おかげで私は今では1,000円カットの愛好者です。