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池上彰の学べるニュース(池上 彰)

(注:本記事は2011年に初投稿したものの再録です)

 2010年の顔といってもいいほどの池上彰氏の本です。

 シリーズものですが、ちょっと前に「池上彰の学べるニュース2」の方を先に読みました。そうなったのも特に理由があるわけではなく、たまたま図書館の予約の順番の都合によるものです。

 この第1作目で取り上げられているのは10テーマ。目次を辿ると、「国家予算」「政治資金規制法」「連立政権」「JAL破綻」「デフレ」「環境問題」「医療崩壊」「日本の教育」「マグロ」「国際情勢」と並んでいます。

 出版のタイミングが民主党政権が成立した時期と重なっていますから、それに関わる内容が大半です。
 たとえば、「民主党がマニュフェストで掲げた『高校無償化』」について解説したくだりから。

(p131より引用) 先進国30カ国のなかで、公立高校に授業料があるのは、日本、韓国、イタリア、ポルトガルの4カ国だけって、知ってました?・・・
 実はこれに関しては、いまから40年以上も前の1966年に国連が「国際人権規約13条2項b」に、こう定めています。
「中学・高校へ無償教育の導入により、すべての者に機会を与えること」・・・これを認めていないのが、日本とマダガスカルの2カ国だけだったのです。

 この項の解説でも「官僚主導から政治主導へ」という流れのメリットが強調されています。
 「国際人権規約13条2項b」で無償化の方向性がうたわれているにもかかわらず、「高校は義務教育ではない」として、それに抵抗していたのが官僚、それを突き崩したのが政権交代による政府判断だという説明です。
 このような教育問題に加えて、医療問題・環境問題に関する章でも、同様の政権交代による希望的解説がみられます。

 さて、肝心の本書の内容です。
 先の「池上彰の学べるニュース2」の読後感を書いたエントリーでも触れましたが、読者層がどういったタイプなのかによって大きく評価は異なるでしょうね。
 ちょっと社会問題に関心を持ち始めた中学生あたりには「入門書」として手ごろかもしれません。



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