小樽殺人事件 (内田 康夫)
(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)
ちょっと前、久しぶりに内田康夫さんの「札幌殺人事件」を読んだのですが、その流れで手に取ってみました。“北海道つながり” です。
今回の舞台である小樽は、私も何回となく訪問したことがあります。
最初は学生のころなのでもう40年以上前ですし、その後、会社の仕事でも何度も行きました。直近では、数年前にプライベートでも訪れています。北の街ならではの旅情が漂ういい街ですね。
浅見光彦が立ち寄った「北一硝子三号館」は、初めていくと誰もが驚くほどの “ガラス製品” が館内くまなくずらっと並んでいて圧倒されます。また、その一角、石造りの蔵を改造した「北一ホール」も登場していましたが、実際とても風情のある空間で、その雰囲気は描かれたシーンに相応しかったように思います。
こういった感じで、自分自身も実際に訪れたことのある場所で主人公たちが動き、ストーリーが進んでいくと、一気に作品への親近感が沸き上がります。この体験の共有は、“旅情ミステリー” というジャンルが人気を保ち続けているひとつの重要な要素ですね。私のような “ミーハー” は簡単にその術中にはまってしまいます。
さて、本作品ですが、ネタバレになるとまずいので内容には触れませんが、浅見光彦シリーズの中ではかなりオーソドックスな作りだと思いました。登場人物も、舞台も、結末の持っていき方も、さらには意外性の程度も。
ただ、物語の半ばあたり、伏線となる小道具の使われ方で、犯人がほぼ想像できてしまう場面がありました。これにはびっくり、ちょっと珍しかったですね。
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