銃・病原菌・鉄 1万3000年にわたる人類史の謎 (ジャレド・ダイアモンド)
(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)
読もう読もうと思っていてなかなか手を付けられなかった本です。
ジャレド・ダイアモンド氏のベストセラー、あまりに有名な著作で「何をいまさら」といった感がありますが、それでもやはり見逃せないでしょう。
壮大なテーマを扱った著作ですが、幸いにも「プロローグ」の中に、本書での立論の要約が語られていました。
さて、このプロローグ以降、本論では興味深い論考がなされていくのですが、その中でもとりわけ私の関心を惹いたところを書き留めておきます。
まずは、著者の関心の中核にある「世界の富とパワーの地域格差」の発生要因に関する考察です。
ポイントは「食料生産」にありました。
そして、地域によって「食料生産開始時期の差」が生じた要因については、こう解説しています。
世界史において大きなトピックとして、1492年コロンブスの新大陸「発見」を契機としたヨーロッパ人の進出があります。当時から新大陸の住民は旧大陸の人々よりも劣後の位置にありました。
「アメリカ大陸の先住民はなぜ、旧大陸の住民に征服されたのか。なぜ、その逆は起こらなかったのか。」、その要因は、「人」そのものにはありませんでした。
さて、本書を読み通しての感想です。
正直、説明が重複していたり冗長であったりしているところが少々気にはなりましたが、1万3,000年に及ぶ時間をスコープにして「ひとつの大きなテーマ」を軸に俯瞰しつつも細部を詰め可能な限り数値化しながら検証していくプロセスはとても刺激的でした。
確かに読み始めると興味が尽きない意欲的な著作ですね。