リーダーシップの哲学 ― 12人の経営者に学ぶリーダーの育ち方 (一條 和生)
(注:本稿は、2020年に初投稿したものの再録です。)
著者の一條和生教授は、一橋大学の野中郁次郎教授が主宰する社会人向け経営者育成プログラムである「ナレッジ・フォーラム」での経験に触発されて本書の執筆を決心したそうです。
私も、まさにその「ナレッジ・フォーラム」の一期生なのですが、事情があってほとんど参加できませんでした。ただ、フォーラムのアフターケアは素晴らしく、そういった私にもいまだに関係書籍が出版されると送ってくださいます。
本書もそういった経緯で手にしたものです。
12人の経営者の方の貴重な「経験の共有」。やはり、一流の経営者の方々の体験談を伺うとワクワクしますし、その方々の言葉には体験に裏打ちされた説得力があふれています。
たとえば、LIXILグループCEO(当時)藤森義明さんのGE時代の話。
改めて、わが身の甘さを思い知らされます。
次は、花王の代表取締役社長(当時)澤田道隆さん。
研究部門の出身の澤田さんが体験した「バックグラウンドの違う人材を活かす」というお話です。
ダイバーシティの重要性は普通に語られるようになりましたが、それを真に活かすには「リーダーの意思」が不可欠だとの実例ですね。
(注(2023年):澤田さんのお話は、現在の「ジョブ型雇用/メンバーシップ型雇用」の議論における重要な観点のひとつです)
そして、良品計画元会長松井忠三さん。
西友時代に幹部向け研修を企画したときの経験です。
こういった本音の指摘はなかなか聞くことはできません。貴重ですね。
さて、本書で紹介されたリーダーの方々は、今も更に留まることなく様々な立場や行動にチャレンジし続けていらっしゃいます。
翻って私はといえば、反省しきりですね。改めて、大いに刺激を受けました。
もう今の立場になってしまうと自分自身が実践するチャンスは極めて少ないと覚悟するところもありますが、それでも何とかこのインプットを活かせる機会を見つけたいものです。