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ロスジェネの逆襲 (池井戸 潤)

(注:本稿は、2014年に初投稿したものの再録です)

 池井戸潤氏の作品は「下町ロケット」に続いて2冊目です。

 本書は、昨年(注:当時)大流行した「半沢直樹」の原作。私自身「倍返し」というフレーズが大嫌いなので、一度もテレビドラマは見たことがないのですが、食わず嫌いはマズイと思い読んでみたものです。

 結果は・・・、やはり私には合いませんでした。
 登場人物の善悪・正邪がはっきりし過ぎているので、行動パターンが単純ですし、ストーリーの舞台も金融・ベンチャーですから新規性もありません。結末も“予定調和的”ですね。

 たとえば、敵対的買収への対抗手段を相談しているシーンでの主人公の台詞。

(p306より引用) 「銀行が政治決着しようと、我々は上っ面やご都合主義ではなく、本質を睨んだ戦略を選択したい。それこそが勝利の近道です」

 至極当然ですね。むしろ、相手方の戦略が余りにもお粗末過ぎます。

 また、理不尽な動きに対して「望ましい企業の枠組み」についての自身の信念を部下に語るシーン。

(p366より引用) 「簡単なことさ。正しいことを正しいといえること。世の中の常識と組織の常識を一致させること。ただそれだけのことだ。ひたむきで誠実に働いた者がきちんと評価される。・・・」

 これも当然です・・・。

 さて、改めて読み終えた感想ですが、正直なところ、典型的なステレオタイプの“勧善懲悪”ものでかなり期待からかけ離れた作品といった印象です。
 先に読んだ「下町ロケット」の方が、まだ主人公のプロットやストーリーの舞台に一工夫あったように思います。かなり残念ですね。



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