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すごい「実行力」 (石田 淳)

行動の習慣化

 「実行力」を高めるためのHow To本ですが、How Toに特化して簡潔にポイントが紹介されています。
 基本としている手法は「行動科学マネジメント」です。

(p18より引用) 行動科学マネジメントにはいくつもの特長がありますが、最大の特長は「結果だけでなく行動(プロセス)にも焦点を当てていること」です。

 著者が薦める「行動科学マネジメント」は、行動の「習慣化」を目指します。

(p59より引用) 習慣化するまでは真の意味で「実行力」がついたことになりません。自分の目的を正しく理解し、無駄なく達成するために二つのルールを徹底してください。
 強化は「すぐに」「確実に」。これが鉄則です。

 著者は、あくまでも「行動」を対象として実行力を高める方法を紹介していきます。「やる気」とか「根性」といったいわゆる「精神論」は一切排除です。

(p64より引用) 改善すべき行動が明確になったら、それを「ターゲット行動」と位置づけます。・・・
 ターゲット行動を増やす(減らす)ために何をするか。これがセルフマネジメントの本質的なテーマです。・・・
 あなたにとってのターゲット行動がはっきりしたら、その行動ができていない理由を検証します。

 対象は「行動」に絞られていますが、ここで説かれている基本的な方法論は、数値目標をたて、それを毎日地道に実行していく、その日々の積み重ねで行動を習慣化し、効果を定着させるという極めてまともなやり方です。

 大事なことは、「行動」を起こさせること。そのための手法が、「インセンティブ(動機づけ)」と「成果の可視化」です。
 著者はその点を以下のように説いています。

(p145より引用) 「行動のあとにメリットが待っている」という因果関係のルール化と、行動データのビジュアル化。この両輪がそろったとき、行動反応率を維持し、さらに行動反応率を高める理想的な環境が整います。つまり「実行力」が高まるのです。

 ポイントは、ともかく「行動」です。行動を機械的に起こさせる環境整備も重視します。

(p151より引用) 自分を根本から変えるには、まず行動を変える必要があります。
 行動を変えるには、行動するための環境を整えること。すなわち自分を意図的に動機づけし、自発的意欲を高める環境を作ることです。

 そして、次には、その行動を行なったかという取り組み状況のモニタリングになるのですが、著者は、その成果把握を単なる数値で押さえるだけでなく「ビジュアルに表わす」ことを薦めています。

(p79より引用) 自分の行動をビジュアル化することは、自発的に行動する動機のひとつとなるのです。せっかく測定するのですから、得られたデータをグラフ化し、より有効に活用しましょう。

 常に目に入るようにしておくこと、すなわち、日々の成長を容易に確認できるようにしておくことが重要だと言うのです。

実行のヒント

 本書は、「実行力」を高めるため、すぐに取りかかれる具体的な方法を紹介したTips集です。

 著者によると、本書の内容は、「行動科学マネジメント」というビジネスメソッドに基づいているとのことですが、その説明において堅苦しい学術論は登場しません。むしろ、本書で示された著者の、一貫して「精神論」を排除した考え方が、この手法の活用のし易さを高めているように思います。

 本書は、「行動」という切り口ですべての論旨が統一されています。その「行動」の駆動力として「インセンティブ」「モニタリング」を活用しているという点では、全く新たな方法論の提示というよりは、立論のベクトルはむしろ王道に沿ったものだと言えます。

 さて、本書を通読して、1・2、私としても改めて再認識させられた指摘がありました。

 まずは、「言葉で表わすこと(言語化)の大事さ」について。

(p122より引用) 行動科学マネジメントでは、実行できない理由を次のように定義しています。
 ①やり方がわからない
 ②やり方は知っているが、続け方がわからない

 実行力を持続/継続させるためには、自らの行動が明確でなくてはなりません。明確かどうかは、第三者にも正確に伝えられるかどうかです。

(p125より引用) 自分で決めた目標を、いざ実行しようとするとき、効果的なのが「言語化」です。
 ここでいう言語化とは、やるべき行動を第三者にもわかる言葉で具体的に表現することです。

 もうひとつ、「チェックリストの使い方」について。
 チェックリストは、望ましい行動がとれているか、それが習慣化しているかを確認するためには極めて有効なツールです。

(p136より引用) チェックリストを利用する上でもうひとつ注意点があります。
 それは「できていないところを見つけて反省するツールではない」ということです。・・・
 「チェックの数がまた増えた」「この項目はもう完全に身についた」という具合に、常にプラス評価することを考えます。これがチェックリストの正しい使い方です。
 チェックリストのいいところは、小さな成果を積み重ねて達成感を得られることです。

 チェックリストは、「自分を肯定して日々の成長を確認するツール」だという指摘です。
 それが、次なる継続的成長を惹起させるのです。


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