心はすべて数学である (津田 一郎)
(注:本稿は、2016年に初投稿したものの再録です)
新聞の書評欄をみて興味をもったので読んでみました。
ともかくタイトルに強烈なインパクトがありますね。
“心は数学”、一体何のことだろうと思ってしまいますが、こういったシンプルなテーゼで表される「概念」を著者は重視しています。
たとえば、「脳と心」について。
この関係については、古来、一元論・二元論というふたつの論陣が張られていたのですが、現代の脳神経科学の論調を著者はこう総括しています。
こういった「心は何らかの脳の活動状態である」という考え方に対して、著者は「心が脳を表している」との仮説を掲げています。
胎児のころから生まれ出て以降、初期の脳神経系の形成過程においては周りの人々たちの行動や言葉がインプットされて行きます。そういった意味で著者は「赤ん坊時点での脳は他者の心によって構築されているのはないか」と考えているのです。
この考え方を進めていって、
とても興味深い説ですね。
そして著者は、「心とは何か」を解くためには「脳科学だけでは不十分」という結論に至ります。
そこで登場するのが「数学(数学的マインド・純粋数学)」です。あらゆるものに思いを致すことができるのが「人の心」であり、そこに、「数学の定理が持つ普遍性」を重ね合わせているのです。
本書では、こういった「概念(コンセプト)」をスタートに新たな発見に向けた議論を紹介しています。
と、全編を通じてこういった調子で著者の解説は進んでいくのですが、正直なところ、本書は私にはかなり手強かったです。
高校時代も、思考の方法論という程度の「数ⅡB」までしかやっていなくて、いわゆる「学問としての『数学』」の素養は全くないわけですから、こればかりは致し方ありません。
とか論じられても、情けないことに「???」。
さらに、
といった記述に至っては読んでもチンプンカンプンで、ただ確実なことは「私の頭の中が“カオス”状態になった」ということでした。
結局「心は数学」という著者の興味を惹く主張は、残念ながら私には理解できずじまいで終わったようです。
もっと、基本的な「数学」を学んでおかないと・・・、残念です。
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