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スカウト (後藤 正治)
(注:本稿は、2019年に初投稿したものの再録です)
もう10年以上、まったく日本のプロ野球には興味がなく試合も全然見ていません。
昨年(注:当時)は、久しぶりに “世の中の話題” として「広島東洋カープ」の活躍が大きくクローズアップされたようですね。
本書は、山本浩二さん、池谷公二郎さん、高橋慶彦さん、川口和久さん、大野豊さんといった錚々たる選手の獲得に辣腕を振るい、かつての広島の黄金時代を支えたスカウト木庭教さんを主人公に、その足跡を紹介したノンフィクションです。
(p105より引用) 「プロというのは入ってから稼ぐところじゃないですか。入団する前にお腹一杯になって、さてがんばろうかという気になりますか。それにね、この不況の世の中、海のものとも山のものともわからない新人選手に、やれ一億円だ、二億円だ、と気楽に支払っているのは野球界ぐらいでしょう。反社会的行為といっても過言じゃない。・・・プロ野球が曲がりなりにも国民的スポーツであり続けてきたのは大衆スポーツだったからだと思うんです。その原点を忘れたらこれは危ういものだと思いますよ。」
主人公の人柄を映したような淡々として落ち着いたエッセイタッチの著作です。この主人公を選んだところで、この作品の出来栄えは決まりましたね。
その点では、他のスカウトや選手のエピソードも興味深いものがありましたが、もっと、この主人公だけを深堀しても良かったように思います。
ちなみに、装丁は諸口あきらさんなのですね、こちらもとても懐かしいです。