グーグル秘録 (ケン・オーレッタ)
グーグルに関する書籍はそれこそ山のようにあります。
私も直近には牧野武文氏による「Googleの正体」という本を読んでみていますが、そちらはコンパクトな入門編。それに対して、本書はアメリカのジャーナリスト、ケン・オーレッタ氏によるオーソドックスなグーグルレポートです。
グーグル幹部をはじめとした数々の関係者への直接取材に基づいているので、内容は詳細かつ具体的で結構読み応えがあります。
もちろん、紹介されているエピソードのかなりのものはすでに人口に膾炙されているものですが、中には、改めてなるほどと思うものもありました。
それらの中から、いくつか覚えに書き記しておきます。
まずは、グーグルを「単なる検索プラットフォーム開発会社」から「新たな広告ビジネスの巨人企業」に脱皮させるトリガーとなったアドワーズ、アドセンスについてです。
アドワーズのコンセプトはオーバーチュアのアイデアの亜種でしたが、アドセンスは全く別物と言えます。この点について、検索ビジネスの大物ダニー・サリバン氏がUSAトゥデーに語ったコメントです。
グーグルは、超巨大企業になった現在においても、創業者であるラリー・ペイジと・サーゲイ・ブリンの考え方が絶対的な価値観として墨守されています。
「邪悪になってはいけない」というグーグルのエンジニアに信奉されているスローガンもそのひとつです。が、このスローガンが表している姿勢は、自己規制のようでもありますが、他方、「ある種の傲慢さ」も含んでいます。
Gメールの開発でコンサルタントを務めたスタンフォード大学教授テリー・ウィノグラッドのコメントです。
創造性溢れるサービスを提供することが、まさに消費者であるユーザーのためだとの考え方は間違ったものではありません。その姿勢は、グーグル上場にあたって証券取引委員会へ提出された資料においても、創業者の意思として表明されています。
グーグルは一般株主による経営への介入をはっきりと否定しています。上場後も二人の創業者が圧倒的な支配力をもっており、その他の投資家は、金は出しても口は出すなというわけです。これはこれで、すっきりした考え方でもあります。
さて、そのグーグル。最近(注:2011年時点)のニュースによると、現CEOのエリック・シュミットは代表権のある会長職に退くとのこと。替わって4月からCEOに就くのはラリー・ページです。サーゲイ・ブリンは、テクノロジーのトップとして現職を続け、ページのCEOの就任によってプロダクトとビジネス部門が合体するようです。
この新体制で、マーク・ザッカーバーグ率いるフェイスブックの台頭とどう渡り合うのか・・・。
私は、まだフェイスブックは初心者ですが、「ネット上の自宅」を目指しているというニュアンスは分かる気がします。
SNSやtwitterと真っ向から対立する“群集の叡智”の否定です。
まだまだグーグルには注目ですね。
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