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真説金田一耕助 (横溝 正史)

(注:本稿は、2020年に初投稿したものの再録です。)

 新型コロナウィルス禍の影響で長期間にわたっていつも行く図書館が休館になっているので、新しい本を借りることができません。

 ということで、かなり以前にダウンロードしていた電子書籍の中から気軽に読めそうなものとして選んだのが本書。昭和51年9月から1年間、毎日新聞で連載されたエッセイをまとめたものとのことです。

 ちょうどその頃でしょうか。私も横溝正史さんの作品はかなり読んでいました。特に「金田一耕助」シリーズは、舞台が岡山の作品も多く、映画化やTV化されたものはほとんど観ていました。

 映画化といえば、昭和50年代に「角川作品」として多くの横溝作品が大ヒットしたわけですが、昭和20年から30年代にも映画になっていたんですね。当時の代表的な金田一耕助役は片岡千恵蔵さんだったのは、ちょっとビックリです。

 当時、横溝作品の映画化あたっては、江戸川乱歩さんが声をかけてきたそうです。その様子を横溝さんはこう語っています。

(p119より引用) そのときの乱歩の手紙によると、カツドー屋を相手にする場合、絶対にこちらの希望や主張は通らないものと思え。かれらは勝手に原作をゆがめてしまうものだから、立腹しないようにと、対カツドー屋さん心得書きみたいなことが書き添えてあった。乱歩のように己を持すること高き人物でも、カツドー屋さんにかかると押し切られてしまうのかと、おかしくもあり、空恐ろしくもあり、それ以後私は映画人に対する場合、乱歩の言葉を金科玉条として、絶対に注文をつけたりはしない。唯々諾々、仰せごもっともで通している。その代わり気に入らなきゃ見ないまでと腹をすえている。

 どうやら、当時は、映画になるとかなり原作が様変わりしていたようですね。
 昭和36年の映画「悪魔の手毬唄」では、高倉健さんがスポーツ刈りでスーツ姿の金田一耕助を演じたというぐらいですから・・・。いくら何でもそれはないでしょう。
(ただ、“怖いもの見たさ”でちょっと覗いてみたい気はします)



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