暗約領域 新宿鮫XI (大沢 在昌)
(注:本稿は、2020年に初投稿したものの再録です。)
最近は “ハードボイルド” という単語は耳にしなくなりましたね。
私もかなり以前になりますが、大藪春彦さんや北方謙三さんらの作品を読み漁ったころもありました。
その後、かなりの空白期間を経て手に取ったのが大沢在昌さんの「新宿鮫シリーズ」でした。本書は、そのシリーズとしては久しぶりの出版です。
実は、私はこのシリーズ、第1作目のインパクトが大きく結構気に入っていて、今までもすべて読んでいるのですが、正直なところ回を追うごとに(失礼な言い様ではありますが、)急激に魅力が失せていきますね。
この作品についていえば、ひとつの事件をあれこれと弄り回している描写が延々と続いて、読み続けるにもかなりの忍耐が必要でした。
で、それをカバーする意味でも “何か光るキャラクタ” をもった魅力的な人物が登場するのであれば、それがスパイスになるのですが、如何せん今回はそれもないので・・・。
以前は、晶や桃井といった個性的な脇役との絡みで、主人公の多面的な人物像が魅力的に描写されていましたし、ストーリーにはもっとスピード感があって、その展開もダイナミックだったと記憶しています。
そういった印象を思うにつけ、今回の作品は、私にとってはとても残念なものになりました。
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