合成生物学の衝撃 (須田 桃子)
(注:本稿は、2020年に初投稿したものの再録です。)
久しぶりのサイエンス関係の本ですが、生命科学の現在の到達点が素人にどの程度理解できるものなのか、興味深く読んでみました。
以下、特に印象に残ったくだりを書き留めておきます。
MITで「遺伝子ドライブ」を研究しているケビン・エスベストの言葉です。
「遺伝子操作」「ゲノム編集」は倫理上の問題はもとより、想定外の生命体を生み出してしまうという自然環境に対するより現実的なリスクを抱えています。また、軍事目的への転用という “デュアルユース” の可能性とも同居しています。
ケビンの提案は対応策としてはひとつの有益な案だと思います。他方、こういった研究が実施される以上は、物理的に「外部に流出する」可能性を「0」にすることはできないでしょう。
とすれば、その「流出の影響」を “どこまでリスクとして甘受できるか” という「覚悟」の問題に帰結するように思います。そして、その「覚悟の正否」を“オープンに検討・検証できるようにしておく” ことです。
覚悟が「個人レベル」だとすると、それは極めて危険です。絶対避けなくてはなりません。