〈アイデア〉の教科書 電通式ぐるぐる思考 (山田 壮夫)
この本も、以前参加していたセミナーの事務局からいただいたものです。
とてもコンパクトな本ですが、なかなか興味深いアドバイスがあり刺激になりました。
冒頭、著者は、タイトルにもなっている「ぐるぐる思考」についてこう説明しています。
「ぐるぐる思考」のプロセスは4つのモードから構成されます。
このプロセスにより「左脳」→「右脳」→「左脳」と思考が脳みその中をぐるぐる回るというわけです。
この個人の脳内サイクルのイメージは、対象としている「知識プロセス」が異なりますが、まさに野中郁次郎氏と竹内弘高氏が「知識創造企業」において提唱した組織としての知識創造モデル(「SECIモデル」)に類似した “動的な知識活動” の一形態のようです。
本書は、あくまでも〈アイデア〉創造のプロセスを紹介したものです。単発的なアイデア発現のTipsを並べたものではありません。
アイデアは「天才的なひらめき」により独創的なアイデアが生まれるという立場にたったものではなく、右脳と左脳の往還により試行錯誤を繰り返し、あらゆる可能性を考え尽くすといった「窮地に追い込まれた」ところから搾り出すものだという考え方です。
本書を読んで、もう一つ印象に残ったのが、「電通『鬼十則』」です。
ちょっと長くなりますが、覚えとして書き止めておきます。
電通4代目社長の吉田秀雄氏が1951年に社員の行動規範として示したものとのことです。
今から50年以上も前の言葉なので、今読むと強引でかなり攻撃的ですね。社員に対して “ともかくがむしゃらに働け!”と叫び続けているようにも感じられます。
近年、「電通」で顕在化している不祥事や不正をみるにつけ、「電通」という会社の体質や労働環境、社員の扱い等々に大きな問題があるのは否定できません。その点は、間違いなくきちんと正されなくてはならないと思います。
そこはしっかりと押さえたうえで、改めて “10のアドバイス” のメッセージを受け止めてみませんか。
個々の項目で指摘しているエッセンス自体は、(その表現の適否はともかくとして)決しておかしなものではないと私は思います。
どうしても「表現」が気になるのなら「です・ます調」に変えてみてはどうでしょう。
1.仕事は自ら「創る」べきものです。与えられるものではありません。
5.いったん取り組んだら “最後まで責任” を持ちましょう。
6.“イニシアティブ” をとりましょう。リーダーとして振る舞うのとメンバーとして加わるのとでは将来的な経験値に大きな差が出ます。
等々・・・
リーダの示す指針として、現場に根ざした説得力があるように思いませんか?
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