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人間と人生を味わい尽くす~神山典士作品集

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音楽、スポーツ、演劇、芸能、ビジネス、料理等、あらゆるジャンルの人間ドラマを描くノンフィクション作家神山典士作品集
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#クラシック音楽

TheBazaarExpress119、『ペテン師と天才~佐村河内事件の全貌』10章、メディアの狂宴

・いい加減な取材ならお断り

「佐村河内とは取材中に何回も喧嘩しました。彼は『徹底的に取材して本当のことを書いてくれ』という。『それができないなら取材してくれなくていい』と言うんです。こちらも喧嘩腰になって、『だったら徹底的に取材させてもらいます』と言い返しました。まるで私と勝負するかのようでした。その姿勢を見て、私は自分と似ているなぁと思ったものです」

ジャーナリストの塩田芳享が語る。塩田は2

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TheBazaarExpress118、『ペテン師と天才~佐村河内事件の全貌』、9章、2つの三角形の完成、障害児とのかかわり

・お仕事は作曲家です

「はじめまして。佐村河内守といいます。守さんのお仕事は作曲家です。一緒に送ったDVDを見てくださいね」

2009年の初夏のこと。習志野市に住む大久保家に、一通の手紙が届いた。宛て先は、小学校3年生の長女、みっくんになっている。大きな封筒には、何枚かのDVDも入っていた。手紙はこう続いていた。

「守さんはみっくんだけのピアノ曲『左手のためのピアノ曲』を作曲してみっくんにプ

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TheBazaarExpress117、『ペテン師と天才~佐村河内事件の全貌』、8章、交響曲第一番HIROSHIMA、最初の三角形の完成

・ゲーム業界とクラシック界

「近年、交響曲第一番に着手」

2001年1月11日発売の「鬼武者オリジナル・サンドトラック、交響組曲『ライジング・サン』」の二枚組CDに添えられたパンフレットに書かれたその言葉。

それこそが、佐村河内から新垣に与えられた次のミッションを予告する言葉だった。

佐村河内は「次は交響曲です」という言葉を、99年の段階でお茶の水のホテルに籠もって「ライジング・サン」を書

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