フリーフォール
あまりの速さに
息子はね
ばあちゃん、フリーフォールだったよ
ねって
うまいこと言うよね
まさにフリーフォールのごとく
あの世に一直線
こちら側の者は感じた
あっ!という間にいなくなった
嘘だよね
まだ信じられない
だって日付変更線をまたぐ頃
ほうじ茶飲んで、磯辺巻き食べて、キュウイフルーツ食べたのよ
そして自分の食べた食器を洗い
自分の入れ歯まできれいにして
ベッドに入ったのよ
そんな人がまさか、まさか
数時間後に
あの世に旅立つと思いますか
確かにね
その後にあげくだしをしたけれど
そして神様のお水を2回口に含ませました
私も何回も目を覚まし
まさか、まさか、まさか
それが死に水なるなんて
誰がそんな風になるなんて
朝方におやさまが覗きに来て
おやさまに掴まって
離さないで
抱っこされて
おんぶされて
天国の花園に行っちゃって
ニコニコ笑顔って何ですか?
お母さんにとっては
とてつもなく
いい旅立ちだったでしょうね
分かります、分かります
こころまなびをいっぱいして
神様の心に沿った生き方をした人だから
フリーフォールに乗ってあっけなく
あの世に行きました
でもさ、こっちの身にもなって欲しいよ
残されたたものの
気持ち分かりますか
わたしはグダグダのダメダメの泣いてばかりな毎日で
自分が立つので精一杯
人を思いやる
そんなことを求められても
とても出来ない
道ですれ違ったおばあさんが困っていたら
たすけられるけれど
ほんのちょっとの手助けくらいなら
できるけど
それ以上のことは
出来かねます
息子は息子で
ばあちゃんッ子だったから
何かあったら
母よりもばあちゃんに相談してたと言い続け
心の支えのばあちゃんがいなくて
やっぱり、やっぱり
心も身体もヨレヨレになっています
わたしに息子の気持ちを汲んでやれは
大変厳しうございます
わたしはわたしで
そんな息子を…
投げ出して
逃げたくなるくらい
わたしの非を責める
痛いところを突いてくる
至らない、至らないわたし
息子が少し楽になるならばと
わたしは耐える
それが母というものならば
お母さんが私にしてくれたように
私はお母さんのようには
なかなか出来ないけど
心の太い、芯のある、優しい母のあなたを尊敬します
ずっとずっと、ずっとずっと
そして泣いています
至らないわたしは私なりにやるしかない
私も息子も
こちらの世界でフリーフォール
場所は違えど
お母さんと一緒に
フリーフォールしている感じかな