安楽死 (母の思い)
昔、祖父は言っていた
「老人には…すぐに彼の世に還れる薬を一服盛ればいい」
希死念慮の強い祖父の言いそうなことである
確かにそれはそうかも知れないと
わたしも言葉には出さないけれど
こころの中で考えた
自分はそれでいいかもしれない
でも周りのものは
いたたまれない
安楽死のドキュメンタリーを観て
ふと思い出す
祖父の言葉
今回のドキュメンタリーはまだまだ母の恋しい年頃の娘二人と夫を残して行く、ひとの話
夫ひとりがスイスで妻の最期を看取る
娘たちは日本に残る
自分の死を現実に見せるのは忍びないものだと思ったのか
母の想いやり
大切な人たちへの手紙をたくさん遺す
娘たちには何十年先までのプレゼントとして
母は娘のこころの中に生き続ける
娘たちは自分がきちんと生き抜くことが母を喜ばせることと
分かっている
わたしより何十倍も強い娘たち
わたしは何を見せられたのか
ずっとうちひしがれているわたしをみて
母は何を感じているのか
もっと母の気持ちを聴きたかった
それも寿命だったのか
人間はいつか必ず彼の世に還る
安楽死と言う決心をして
けじめをつけて
自ら還って行く人よ
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