ヤサグレ会再始動
こないだ、ずっとコロナ禍で営業を休止していたいつもの居酒屋が営業を再開したため、しめちゃんとふたりでヤサグレ会をしに行った。
ヤサグレ会の本格的な再始動である。
しめちゃんとは、近所に住む同じ幼稚園に通っていた私の地元の長年の友達であり、私にいろんな言葉や道をしめしてくれるから「しめちゃん」とここでは呼んでいる。(ハッシュタグ#しめちゃん をご参照ください)
ヤサグレ会とは、そんなしめちゃんと2人で繰り広げる、主にヤサグレた話題を中心に喋り続けて食べ続ける宴のことである。
いつものようにしめちゃんのマンションの下で待ち合わせして、いつも通り約束の時間の「10分ほど遅れそう」というメールを私がして、8分遅れで到着したらしめちゃんに「早かったな」と褒めていただけるすべり出し。
通常営業である。
しめちゃんが着ていた見慣れないチェックのコートがめちゃくちゃおしゃれで、「そのめちゃくちゃおしゃれなコート、どしたのさ!?」と聞いたら、ABAHOUSEで数日前に買ったとのこと。実店舗で試着をして、高いなあと思っていたものの、ネットで2000円オフとなっていて、悩んでいたらそのタイミングで20%オフセールが始まって定価より5000円くらい安く買えた、しかもイタリア製やで、インナーダウンを着たら冬中着られるし、のりまきちゃんも買えば?という話をチャリンコに乗りながら聞いているうちにあっという間に居酒屋に到着。
しめちゃんはイタリア製の真冬のコートを着ていたが、私はペラペラの夏のワンピース一枚を腕まくりして半袖なのに汗をかいていて、エレベーターの鏡を見て真冬と真夏の装いの二人に一笑いした。
20階まで上がるとフロアは休業中に改装されてめちゃくちゃきれいになっていた。居酒屋のメニューも新しくなっていて、それは嬉しくもあり残念でもあった。
夜景の見える居酒屋としてこの辺りで人気なのだが、そんなに客は入っていないし長居ができる謎の居酒屋ではある。いつもおしゃべりに夢中で我々は夜景に目もくれないのだが、久しぶりなので一応「見てみ、スカイビルやで!100万ドルの夜景やで、まるで摩天楼やな」と私が言うと、冷めた顔したしめちゃんは「ダサい言い回しやなあ。摩天楼て何やねんな」と流して、夜景を見もせずにメニューを熟読されていた。
そして、とりあえず生ビール。
ビールと共につきだしがきたのだが、つきだしが味の染みまくってるがんもどきだったので食べた。
居酒屋に出てくるつきだしは、気に入らないものだったら「いりません」とどちらかが断りがちな我々なのだが、二人共のお眼鏡にかなうのは珍しかった。つきだしは、注文していないのに料金が勝手に引かれるという仕組みが気に食わないし、食べたいものじゃなかったら断ってお金を引かれないようにしている。
橋下徹氏が弁護士時代、法律的に「つきだしは嫌だったら断ってもいい」と昔テレビで言っていたのを聞いて以来の習慣である。
我々は、勝手に出されたものを黙ってホイホイ喜んで食べるような女ではないという覚悟を示してもいる。(こだわりが強いだけとも言う。)
それから、いつも通りごはんセットを私が最初から頼んで、第一陣として鉄板焼き肉、鶏の唐揚げ、ししゃも、だし巻き(卵焼き器と同じサイズ)、ぎょうざ、きゅうりの漬け物、牛すじ煮込みを注文。ポテトと牛すじチャーハンは後回しにしよう、と二人で確認しあった。
これはよく頼むオーダー、つまりはいつメンではあり、代わり映えのしないどこの居酒屋にもある代表的なメニューであるが、ポテトサラダがむちゃくちゃオリジナリティ溢れるヘンテコなアレンジの真っ黒なポテトサラダになっていたので注文するのをやめた。普通のポテトサラダが一番なのに何故そうした…と途方に暮れた。そして、唐揚げの量が以前はメガサイズや大盛を選べたのに、普通サイズしかメニューになくがっかりした。といっても普通サイズも山盛りではあった。普通って難しいね、全く。
そういえば、前回のヤサグレ会でオーダーし過ぎたことをそこの店長に指摘されて恥ずかしかったが、その前にも店員が「それは多すぎますよ」と言ってきた店があったなあ、パンケーキの店でもそれは二人分の大きさだから一人では食べれないと思いますよとか言われたなあ、一人で食べられたけどな、など言い合い、私らのことを見くびらんといてほしいな、としんみり語り合った。(しんみり)
私が頼んだごはんセットは単品のごはんよりも50円高いのに、ごはんとたくわん3枚しか持ってこられなかったので、たくわん3枚が50円するんか?味噌汁がついてくるんではなかったかな?と思い、「ごはんセットは単品と何が違うんですか?」と丁寧に店員に聞いてみた。すると、その店員(チャラいフッくんそっくりの50代くらいのおじさん)は「えー、分からんなあ~」と言ったため、ついついカチンときた。フッくんは隣のテーブルのおじさん連中や向こうのお兄さん連中には常に敬語を使っているのを私は知っている。
何がどう分からんねんと思いつつ、「確認してくるわ~」と厨房に戻り、「ごめーん」と言いながら味噌汁を持って戻ってきた。
「そらそやろ」としめちゃんが誰に言うわけでもなくきつめにポツリと言って、店員がまた「ごめん」と言ったので、私がかぶせるように「『なさい』な」と付け足すことを教えてあげた。
ちょっとキツく言いすぎた気がして、このままではキツい女の客とチャラい店員、というやな感じの風景になるから、打破するために、私が滅多にやらないよそいきのスマイルをウフフと出してあげて、その場は手打ちにしておいた。大人な対応だったと自分を褒めたい。
しめちゃんは、「ああいう女好きそうなチャラい店員に媚びて仲良くなって頼めば、ポテサラの変なアレンジをやめて、こっそり裏メニューで普通のポテサラ出してもらえたりするんやろな」と言った。私は、今日は普通のポテサラなんていらねぇやと思い、よそいきスマイルをまた封印した。ヤサグレ会らしいスタートである。
しめちゃんと私は、この夜はとにかく何から何まで喋り続けた。
思い出した順に書き留めておくと、
①私が色んなルートから仕入れた情報により、インドから謎のジェルを20本輸入して、最近はそれだけを顔に塗っているのだが、そのおかげで最近むちゃくちゃ肌の調子が良くてご機嫌なこと(こちら)、
②肌といえば、2人で台湾に行き、久しぶりに台湾在住の共通の友達と会った時、その友達が私の肌を白くてキレイと褒め続けてくれたのだが、その3分後に私はトイレに駆け込みゲロを吐いた。(その前に寄った夜市で飲んだスイカジュースにあたったと思われる。)つまり、私の肌が1番キレイと言われる時はゲロ吐く寸前の顔面蒼白の時だとしめちゃんが語る残念な事件、
③2人で宮古島に行った時に、ウミガメシュノーケリング中に私だけカツオノエボシというクラゲに顔を刺されて大変な目にあった思い出からの、私がいつも旅でなんらかのトラブルに巻き込まれるという話、(前編・後編)
④しめちゃんの会社で、やると言ったくせにやらずに後から「やりたくない」と陰で文句を言う社員のこと、
⑤私の職場で「辞めます」が口ぐせで5年くらい前からしょっちゅう辞めたい辞めますと言いにくるのに全然辞めない辞め辞め詐欺の人のこと、
⑥二人の会社のどちらにもいる、作ってあげたマニュアルや手順を見もせず試しにやってみもせずに、「これどうするん?」と最初から人をアテにして聞いてくるヤツの話(二人の「まず見ろや!」が居酒屋中にこだました「まず見ろや」事件)、
⑦マラソンや山登りから、こけし集め、ももクロと色んなものにハマっていたしめちゃんのお兄ちゃんのかなり歳下の新しい彼女が相当気配りができるという話、
⑧既婚者のくせに妻の妊娠中に私を口説いてきた他所の会社の男が、妻が出産したために育休をとっている話(もちろん振った。それと私は男も育休取るべきと考えてる派ではある)、
⑨「言わな分からん」と言う男と「言わんでも察してよ」な女をテーマにお互いの過去の男の話、
⑩私が最近ハマったヤスケの話、
11.しめちゃんの得意分野である赤穂浪士の話、
12.佐藤健ブームは過ぎ行き、いつものごとくしめちゃんの好きな男ランキングで昔から殿堂入りしているオダギリジョーの近況と今後、
13.芸人ダイアンがもっと東京で売れるにはどうしたら良いのかの戦略(youtubeではなくラジオに力を入れて欲しいから東京のラジオ局に挨拶回りをしてほしい)、
14.イ・ビョンホンとシャールク・カーンはどちらが世界的に最も人気があるアジア人なのか論争(しめちゃんはアカデミー賞のプレゼンターやるくらいやからイ・ビョンホンの方が格上、私はインド人の人口とアジア圏の人気を考えればシャールクの方がファンの人数では圧倒的勝利、と平行線でもめにもめた。)
15.有吉とオダギリジョーに選ばれて愛される女は今のところ最強説(なんか知らんけどしめちゃんが急に言い出した説)
16.イカゲームにちなんで、昔やった遊びで楽しかった思い出をそれぞれ語ってみたら、幼稚園時代にドンジャラをしたことをそれぞれが偶然挙げた。それが不思議な話で、幼稚園当時は友達や知り合いではなかった我々だが、40年前、我が家で麻雀好きのうちの父が近所の子供を集めてドンジャラをしていて、しめちゃんも同席し私と共にドンジャラをしていた可能性が出てきたという昭和らしいまさかの運命の話
などなど。
一つずつのネタで長編のnote1本書けるくらいのボリュームのエピソードだったし(今日のnoteが既に長い)、多岐に渡るジャンルのトークとなったからタイトルのみ連ねた。
このどれかを気が向いた時にまたnoteに書いてもいいなと今思った。(どれか読みたいのありますかね)
あとは酔ってて何を話したか忘れたし、何を食べて何を飲んだかもよく覚えていない、いや覚えている方かな。とにかくあっという間に過ぎたのは確か。
牛すじチャーハンや山盛りポテトフライのノーマルバージョンと山盛りポテトフライのホイップバタートッピングバージョンとを立て続けに頼んだり、えいひれとか、あと何品かを追加して食べた気がする。
それからこの店は、レモンサワーだけで10種類以上あるから、色んなレモンサワーをしめちゃんが試していて(純レモンとか生レモンとか黒レモンとか。しめちゃんは違いの分かる女である)、私は夏のワンピが寒くてお湯割りを飲んだりした。
そしていつも後半に注文していた焼き枝豆のガリバタ味とスルメの天ぷらがメニューからなくなったことをしんみりと嘆いた。(しんみり)
しんみりしたり怒ったり笑ったりして、夕方17時から0時までの7時間の宴は終了。
ペラペラのワンピに冬のストールを巻いただけでは寒すぎたので、しめちゃんとお揃いのちょっとお高いおしゃれなコートを買おうかなと少し思った帰り道。
10%割引クーポンを使ったのにお会計が2人で11000円だったので、痩せたいのとお金を貯めたいのとを叶えるのは、はてしなく道のりが長いと感じた秋の夜更けであった。